◎下院民主党が提案した法案は賛成223票ー反対204票で可決された。
米下院は9日、銃の販売を規制する新たな銃規制法案を可決したが、上院で否決されることは確実である。
この法案は21歳未満の半自動式ライフルの購入や大容量弾倉の一般販売などを禁止する。
共和党は全国で発生した一連の銃乱射事件に対する批判と懸念の声が高まっているにもかかわらず、この法案を非難した。
下院の採決の数時間前、テキサス州ユバルディの小学校銃乱射事件の生存者が議会で当時の状況を説明した。この事件では生徒19人を含む21人が射殺された。
11歳の少女はオンラインで当時の状況を説明し、「死んだふりをするためにクラスメートの血を自分に塗りたくった」と説明した。
米上院では銃規制に関する超党派グループの協議が進んでいる。しかし、民主党が新法を成立させるためには、上院共和党員少なくとも10人の支持を得なければならない。
一部の保守派は銃購入時の身辺調査強化には賛成しているように見える。しかし、殺傷能力の高い自動小銃の販売禁止や購入年齢制限には強く反対している。
上院の超党派グループは落としどころを見出そうとしているが、AP通信によると、民主党が求める抜本的な改革が実現する可能性は非常に低いという。
リーバイ・ストラウス社、ルルレモン社、リフト社などのロビー企業のCEO220人以上は9日、銃暴力を減らす措置を速やかに取るよう上院に要請した。
またこれらのロビー企業は保守的なテキサス州民とともに、銃規制強化を求める公開書簡に署名し、共和党に圧力をかけた。
この公開書簡は現地紙ダラス・モーニング・ニュースが12日に掲載する予定で、銃の購入年齢引き上げなどを求める内容になっている。
下院民主党が提案した法案は賛成223票ー反対204票で可決された。賛成に投票した共和党員はわずか5人だった。
この法案には銃の販売規制強化だけでなく、大容量弾倉を返還した個人に自治体が補償を行う制度や、追跡不可能なゴーストガンに対する規制強化なども含まれる。
民主党のペロシ(Nancy Pelosi)下院議長は採決前の演説で、「なぜ多くの子供が亡くなっていると思う?」と議員に問いかけた。「銃規制はあなたを困らせますか?」
しかし、下院共和党は法案を非難した。
オハイオ州選出のジョーダン(Jim Jordan)下院議員は、民主党を嘘つきと非難した。「民主党はこの法案は子供たちを守るためのものと言いました。しかし、それは間違っています。この法案は合衆国憲法を遵守する市民から憲法が保障している、神から与えられた権利である修正第二条(武器保有権)を奪うでしょう...」
民主党のシューマ―(Chuck Schumer)上院院内総務は9日、「超党派グループは議事妨害を回避できる60票の基準をクリアするための交渉を進めており、十分な数の共和党員から支持を得ることができる」と語った。
しかし、テキサス州選出の共和党員コーニン(John Cornyn)上院議員は「至る所に問題がある」と法案に懸念を表明した。
銃規制に前向きな上院共和党員はごくわずかである。超党派グループは今週末までに一定の結論を出すと期待されている。
最新の世論調査によると、最も支持されているルールは精神疾患のある個人や犯罪歴のある個人への銃販売を禁止するいわゆる「レッドフラッグ法」と、購入時の身辺調査強化である。