◎マドゥロ大統領の支配下に置かれる選挙管理委員会は大統領選の集計結果を公表せず、現職のマドゥロ氏が得票率51%で勝利したと発表。欧米と一部の中南米諸国から非難を浴びている。
米政府は2日、週末に行われたベネズエラ大統領選について、全野党の統一候補であるゴンザレス(Edmundo González)候補を勝者と認定した。
ブリンケン(Antony Blinken)米国務長官は声明で、「圧倒的な証拠を考慮すれば、28日に行われたベネズエラ大統領の勝者がゴンザレス氏であることは明らかである」と述べた。
独裁者のマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領はこれに即座に反応。「ベネズエラに干渉するな!」とSNSに投稿した。
マドゥロ氏の支配下に置かれる選挙管理委員会は大統領選の集計結果を公表せず、現職のマドゥロ氏が得票率51%で勝利したと発表。欧米と一部の中南米諸国から非難を浴びている。
ウルグアイもゴンザレス氏を勝者と認定した。
全野党の指導者であるマチャド(María Corina Machado)元議員の陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保したと報告。それによると、ゴンザレス氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけているという。
マチャド氏とゴンザレス氏は首都カラカスで30日に行われた大規模集会で演説したものの、それ以来、公の場に姿を見せていない。
ゴンザレス氏は2日、X(旧ツイッター)に声明を投稿。米政府に謝意を表明した。
ベネズエラの選管は2日に新たな集計データを公表したが、米国が求めている選挙区レベルの集計は含まれていなかった。
一方、カラカスでは2日、暴徒が全野党の事務所を襲撃し、書類や機材を持ち去る事件が発生した。
AP通信によると、暴徒は午前3時頃、市内にある野党事務所を襲撃。ドアを破壊し、書類、パソコン、その他機材を持ちだったという。
一部の政府高官や議員はマチャド氏が抗議デモを扇動していると主張し、逮捕するよう要求している。マチャド氏の所在地は明らかになっておらず、SNSにもコメントを投稿していない。
ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、推定770万人が国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。
米政府は昨年10月、マドゥロ政権が野党連合と選挙協定を結んだ見返りとして、経済制裁を一部緩和したものの、マチャド氏が選挙に立候補できなかったことなどを受け、今年3月にこれを取り消した。
APは米政府関係者の話しとして、「ゴンザレス氏やマチャド氏が逮捕された場合、ベネズエラに新たな制裁を科す可能性がある」と伝えている。