◎FRBの決定は世界の銀行部門の混乱に拍車をかける可能性がある。
米連邦準備制度理事会のパウエル議長(ロイター通信)

FRB(連邦準備制度理事会)は22日、銀行部門の問題が表面化したにもかかわらず、主要政策金利を0.25%引き上げると発表した。

FRBは21~22日に行った連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%引き上げ、4.75~5.00%とした。

FRBの決定は世界の銀行部門の混乱に拍車をかける可能性がある。

米国で16番目の規模を誇るシリコンバレー銀行は今月初めに破綻。その2日後には中堅のシグネチャー銀行も破綻するなど、銀行部門の問題が表面化した。

FRBはFOMCの中で、「米国の銀行システムは健全かつ弾力的である」とする一方、「2行の破綻の影響で今後数カ月間は経済成長に悪影響が出る可能性がある」と警告した。

FRBはインフレを抑え込むために借入コストを引き上げている。各行は急速な利上げを考慮しながら適切な融資を行い、パンデミックやウクライナ侵攻の影響で疲弊する民間セクターなどを支援する必要がある。

しかし、シリコンバレーとシグネチャーは今月、金利上昇により預金が枯渇、経営破綻した。

一部のアナリストは「利上げにより、銀行が保有する債券の価値が下がり、負のスパイラルを引き起こす」と警告している。

銀行は債券を大量に保有する傾向があり、その結果、大きな潜在的損失を抱え込むことになる。

世界の主要国は今回の破綻が広範な金融危機を引き起こすとは考えておらず、インフレを抑制する努力(利上げ)を止める必要はないとしている。

欧州中央銀行は先週、主要政策金利を0.5%引き上げた。

イングランド銀行(中銀)も先月の消費者物価指数(CPI)が予想に反して前年同月比10.4%増となり、1月から上昇したことを受け、利上げに踏み切る予定である。

パウエル(Jerome Powell)FRB議長はFOMCの中で、「FRBはインフレ対策に引き続きコミットしている」と述べた。またパウエル氏はシリコンバレーの破綻について、「米国の金融システムは強力であり、同行の破綻は経営の問題が引き起こした稀な事象」と評した。

しかしパウエル氏は最近の混乱が米経済の成長の足かせになる可能性が高いことを認め、その影響の全容は現時点では判断しかねるとした。

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