◎在米大使館の周辺地域はギャングに支配されている。
2024年3月10日/ハイチ、首都ポルトープランスの在米大使館前(AP通信)

米軍は10日、中米ハイチの在米大使館の警備を強化し、人員を退避させるため、部隊を空輸したと発表した。

米南方軍(SOUTHCOM)は首都ポルトープランスの大使館にヘリ部隊を送り、職員の一部を退避させたとしている。

AP通信は関係者の話しとして、「ハイチの空港に部隊は送っていない」と伝えている。

これはギャングの支配下に置かれつつあるポルタープランスから各国政府の大使らが退避するという憶測を打ち消すことを目的としているようだ。

在米大使館の周辺地域はギャングに支配されている。

SOUTHCOMは声明で、「今回の大使館への空輸は警備を強化する取り組みのひとつである」と強調した。

在米大使館は昨年7月、職員の家族に国外退避を勧告していた。

一部のメディアは今回の退避について、「大使館にとどまる職員をリフレッシュさせるための措置」と伝えているが、詳細は不明だ。

米政府は10日の声明で、「ハイチ国家警察を支援し、国連PKO派遣に向けた手続きに引き続き注力する」と述べたが、こうした努力は今のところ成功していない。

ハイチのアンリ(Ariel Henry)首相は先週末、国連PKOを率いるケニアのルト(William Ruto)大統領と会談。警察官約1000人をハイチに派遣する協定に署名した。

しかし、ケニアの高等裁判所は先月末、「安保理の決定に基づきハイチにケニアの警察官を派遣することは違憲である」と裁定。この裁判は現在、最高裁で争われている。

アンリ氏は依然として帰国できずにいる。ハイチと国境を接するドミニカには上陸できず、5日に米領プエルトリコに移動。関係者らと協議している。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは1年ほど前から同国最大の武装ギャング「G9&Family」を含む複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

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