◎北米で未確認飛行物体が撃墜されたのは今週2回目。中国のスパイ気球を含めると3回目である。
米加両政府は11日、カナダ領空に侵入した未確認飛行物体を撃墜したと発表した。
カナダのトルドー(Justin Trudeau)首相は記者会見とSNSに投稿した声明で、「北西部ユーコン準州の高高度を飛行していた物体を撃墜した」と説明した。
トルドー氏によると、物体を撃墜したのは米軍のF22戦闘機。空対空ミサイル「サイドワインダー」を使用したという。
米加両政府が共同運営する北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)は共同作戦でこの物体を追跡し、バイデン(Joe Biden)大統領とトルドー氏が電話で協議。撃墜命令を出した。
北米で未確認飛行物体が撃墜されたのは今週2回目。中国のスパイ気球を含めると3回目である。
米軍は先週末、中国の民間企業のものとみられる気球を撃墜し、10日にはカナダに近いアラスカ州沖で小型車サイズの物体を撃墜した。この物体の正体は明らかになっておらず、米軍が調査を進めている。
トルドー氏は「バイデン氏と協議し、11日に撃墜命令を出した」とツイッターに投稿した。
アナンドAnita Anand国防相は記者会見で、「新たな未確認物体はユーコン準州上空約4万フィート(1万2000m)を飛行し、11日の現地時間15時41分頃に撃墜された」と述べた。
アラスカ州で10日に撃墜された物体も高度1万2000mを飛行していた。
アナンドは物体を「円筒形」と説明。軍が現場で回収作業に当たっていると述べた。
またアナンド氏は撃墜を決めた理由について、「民間航空機への脅威になり得ると判断したため」と説明した。
アナンド氏は物体について、米サウスカロライナ州沖で先週撃墜された中国の気球より小さく見えたと述べたが、具体的な大きさには言及しなかった。
トルドー氏は記者会見前にツイッターを更新し、NORADの航空部隊に謝意を示した。
一方、米国防総省はこの物体を24時間追跡・監視していたと明らかにした。
同省は声明の中で、「バイデン大統領とトルドー首相は電話で協議したのち、NORADの提案を受け、撃墜を命じた」と述べている。
また同省は、「両首脳はその目的や出自などを確認することで一致した」としている。
米軍はアラスカ州の最大都市アンカレジの基地からF22戦闘機を2機派遣し、物体を追跡。カナダ空軍の戦闘機もこれに加わり、その後、サイドワインダーで撃墜した。
国防総省のライダー(Pat Ryder)報道官は記者会見で、「FBI(連邦捜査局)がカナダ警察と緊密に協力して捜査に当たることになる」と述べた。
物体の正体は明らかになっていない。しかし、2つの物体は中国のスパイ気球が撃墜されてからわずか1週間後に姿を現した。
バイデン氏は民間航空機に影響を与える可能性があるとして、1つ目の物体を撃墜するよう命じた。
米軍によると、アラスカ州兵と米兵の合同チームは10日に撃墜した物体の回収作業を続けているという。
また米軍は物体の能力、目的、出自などは不明としたうえで、FBIも回収作業に参加していると報告した。