◎ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
ハイチのコニーユ首相(左)とブリンケン米国務長官(Getty Images/AFP通信)

米国のブリンケン(Antony Blinken)国務長官が5日、中米ハイチの首都ポルトープランスに到着した。

ブリンケン氏はコニーユ(Garry Conille)首相らと会談し、同国における国連PKOに対する米政府のコミットメントを再確認する予定だ。

東アフリカ・ケニアの警察官約400人がポルトープランスで猛威を振るうギャングを鎮圧するため、国家警察と共にパトロールを行っているものの、PKOの資金と装備が不足しているという懸念が高まっている。

ニコルズ(Brian A. Nichols)米国務次官補(西半球担当)は4日、ギャングと戦う資金・資源を確保する取り組みのひとつとして、PKOへの参加を検討していると表明した。

ハイチ政府は以前から米国とカナダに部隊を率いるよう要請していた。

こうした中、ハイチ政府は4日、暴力が全土に拡大しているとして、今年初めに発令した非常事態宣言の対象を全国に拡大した。

ブリンケン氏はコニーユ氏、暫定評議会の委員9人、国家警察の長官、ケニア警察の責任者などと会談する予定である。

ニコルズ氏は5日、記者団に対し、「我々の目的は治安改善に向けた前向きな進展を認識し、ハイチが総選挙に向けて前進できるよう、暫定評議会の努力を促すことだ」と語った。

ハイチが最後に選挙を実施したのは2016年。過去の政府は選挙を行えない理由について、ギャングの暴力と国会の不作為が原因と主張してきた。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

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