◎コンゴ東部の北キブ州やイトゥリ州などでは、国軍と同国最大の反政府勢力「3月23日運動(M23)」との戦闘が激化している。
米国のブリンケン(Antony Blinken)国務長官は7日、ルワンダとコンゴ民主共和国に対し、国境付近の緊張を緩和し、避難生活を余儀なくされている市民690万人を保護するよう要請した。
米国務省によると、ブリンケン氏はコンゴのチセケディ(Felix Tshisekedi)大統領およびルワンダのカガメ(Paul Kagame)大統領と個別に電話会談を行い、国境沿いの不安定な状況と人道的危機について協議したという。
またブリンケン氏は緊張状態の外交的解決を強く提唱した。
コンゴ東部の北キブ州やイトゥリ州などでは、国軍と同国最大の反政府勢力「3月23日運動(M23)」との戦闘が激化している。
M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。
しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、2013年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。2021年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。
コンゴ政府、米国、国連の専門家はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダはこの主張を否定している。
1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。
M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているとみられ、北キブ州の州都ゴマ近郊まで支配地域を拡大したとされる。
国際移住機関(IOM)は先週、コンゴ東部から全土に拡大しつつある紛争について、少なくとも690万人が避難を余儀なくされ、世界最大級の人道危機が続いていると警告した。
この紛争に巻き込まれ死亡した市民は数千から数万人と推定されているが、被害の全容は明らかになっておらず、調査が行われる目途も全く立っていない。
IOMは数十万人が隣国ウガンダに逃れたと推定している。
コンゴでは来月、大統領選が行われる予定だ。東部の戦闘激化が再選を目指すチセケディ氏に影響を与える可能性もある。