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米国2025年貿易赤字わずかに縮小、モノの赤字は過去最大

トランプ(Donald Trump)大統領は2025年に大規模な関税政策を導入したが、赤字を解消することはできなかった。
2025年4月2日/米ワシントンDCホワイトハウス、トランプ大統領(AP通信)

米国の2025年の貿易赤字は前年の9040億ドルからわずかに縮小し、約9010億ドルとなったが、モノの貿易赤字は過去最高の1.24兆ドルに達した。商務省が19日、明らかにした。トランプ(Donald Trump)大統領は2025年に大規模な関税政策を導入したが、赤字を解消することはできなかった。

トランプ政権は主要な輸入品に対して二桁台の関税を課し、国内産業の保護と貿易赤字是正を目指した。これらの関税は輸入業者が支払う税として課され、その負担は最終的に米国の企業や消費者に転嫁される仕組みとなっている。しかし 関税はインフレ抑制には当初予想されたほどの影響を及ぼさず、輸入水準の縮小にもつながらなかった と指摘されている。

モノとサービスを合わせた全体の貿易収支はわずかに改善したものの、モノに限った収支は大幅な赤字となった。これは特にコンピューターチップやIT関連製品など、高度技術分野の輸入が増加したことが主因とされる。多くの米国企業がAI関連の設備投資を進める中、台湾などからのハイテク製品の輸入が活発化したためだ。

貿易相手国・地域別では、中国とのモノの貿易赤字が前年に比べて32%減、約2020億ドルに縮小した。中国との貿易額は輸出・輸入ともに減少、米国による関税や貿易摩擦が背景にある。一方で、台湾に対する赤字はほぼ倍増し約1470億ドル、ベトナムに対する赤字は44%増の1780億ドルに達した。これについて、米国のエコノミストは赤字縮小の成果を求めるトランプ政権が今後、赤字拡大国に焦点を移す可能性を指摘している。

また、メキシコとのモノの貿易赤字も約1970億ドルと前年から拡大した。一方でカナダとの赤字は約26%縮小し約460億ドルとなった。米国はメキシコ・カナダとの通商協定更新交渉を進めており、これが今後の貿易収支にどう影響するかが注目されている。

サービス貿易では黒字が拡大し、 銀行業務や観光などの分野で3390億ドルの黒字を記録した。この黒字拡大が全体の赤字縮小に寄与した面もある。

トランプ氏は関税政策を通じて製造業の復活と米国への生産回帰を強調しているものの、現状では政策効果に対する評価は分かれている。関税導入にもかかわらず貿易赤字はなお高水準にある点や、赤字が中国以外の国にシフトしている点は今後の政策調整の余地を示している。政権内部では赤字削減を重視する声が根強い一方、中長期的な経済成長や国際収支への影響については慎重な見方も出ている。

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