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米国、75カ国の移民ビザの発給手続きを一時停止へ

非移民ビザを求める大多数の申請者に影響は及ばないが、永住権取得を目的とする申請者や家族呼び寄せの申請を行っている人々への影響は大きいとみられる。
2025年9月19日/米ワシントンDCホワイトハウス、トランプ大統領(Getty Images/AFP通信)

国務省は14日、75カ国の国民に対する移民ビザ(査証)の発給手続きを1月21日から一時停止する方針を明らかにした。今回の措置は、移民として米国に入国する申請者の中で将来的に公的扶助(パブリック・チャージ)に頼る可能性が高いと判断される人々の入国を抑制する狙いがあるとしている。背景には現在の移民・ビザ制度に対するトランプ政権下での強硬な姿勢がある。

国務省の声明によると、今回停止されるのは移民ビザの申請処理で、観光や短期商用などの非移民ビザは対象外だという。非移民ビザを求める大多数の申請者に影響は及ばないが、永住権取得を目的とする申請者や家族呼び寄せの申請を行っている人々への影響は大きいとみられる。

停止対象となる75カ国にはアフガニスタン、ブラジル、ナイジェリア、タイ、ソマリア、ロシア、イラン、イラク、エジプト、イエメンなどが含まれている。対象国の多くはアフリカ、アジア、中南米など多地域にまたがっており、発給停止の理由として国務省は「米国の公的扶助制度を悪用する可能性が高い申請者」を阻止するためと説明している。具体的な国ごとの判断基準は明らかにされていないが、財政的自立能力や健康状態、英語能力などが審査に影響する可能性があると伝えられている。

今回の措置は、トランプ政権が進める移民政策の一環であり、昨年11月に公的扶助リスクに基づくビザ審査強化の方針が打ち出されて以来の大規模な対応となる。政権側は「米国民の税金や社会保障制度への負担を軽減し、移民制度の乱用を防ぐため」と説明しているが、人権団体や移民支援団体からは差別的で不当な政策だとの批判も上がっている。特に影響を受ける国々は低所得国が多く、単に経済的な背景から排除される形になっているとの指摘がある。

一方、国務省は今回の停止が「恒久的な措置ではなく、制度見直しのための一時的な停止」であると強調している。再開の時期や具体的な条件については明らかにされていないが、移民手続きの審査方針を再検討し、より厳格な基準を設ける意向を示している。再開後も公的扶助のリスク評価は引き続き審査に組み込まれる見込みだ。

この発表は、2026年に米国とカナダ、メキシコで共催されるFIFAワールドカップを目前に控えたタイミングでの発表となったが、主催者やスポーツ関係者は非移民ビザが対象外であることから大会運営への直接的な影響は限定的との見方を示している。ただし、家族呼び寄せや長期滞在を予定していた多くの人々にとっては重大な影響となる可能性がある。

米国の移民制度はこれまでも政権ごとに見直しが行われてきたが、今回のように多数の国を対象とした大規模な処理停止は例が少なく、今後の国内外での議論がさらに激しくなることが予想される。

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