SHARE:

米国のガソリン価格急騰、イラン戦争で世界のエネルギー市場混乱

国際指標であるブレント原油先物は1バレル=90ドル台に上昇、米国の指標であるWTIも90ドル前後まで急騰した。
2026年3月3日/米カリフォルニア州サンディエゴ郡カールスバッドのガソリンスタンド(ロイター通信)

米国でガソリン価格が急騰している。背景には米国とイスラエルによるイランへの軍事行動を契機に拡大した中東情勢の緊張があり、世界的なエネルギー供給の混乱が価格上昇を招いている。

国際市場でも原油価格が急騰している。国際指標であるブレント原油先物は1バレル=90ドル台に上昇、米国の指標であるWTIも90ドル前後まで急騰した。WTIはこの1週間で35%も上昇し、新型コロナ流行初期以来の大幅な上げ幅となった。こうした原油価格の高騰がガソリンやディーゼルなどの燃料価格を押し上げている。

今回の上昇の主因はイランをめぐる戦争によって中東の石油供給が混乱していることである。イランの報復攻撃や軍事的緊張により、ペルシャ湾とオマーン湾を結ぶホルムズ海峡周辺の輸送が混乱した。同海峡は世界の海上輸送による原油の約2割が通過する重要な航路であり、船舶の通行減少やタンカーへの攻撃などが相次いだことで、世界の石油供給に対する不安が急速に高まった形だ。

その結果、各国の石油精製業者やトレーダーは中東以外の原油を確保する動きを強めている。特に米国産原油への需要が急増し、湾岸地域の原油価格は指標価格に対して大きな上乗せで取引される状況となった。市場では供給不足への警戒感から買いが膨らみ、エネルギー価格全体が押し上げられている。

米国内ではガソリン価格が1週間で10%以上上昇した地域もあり、インフレに苦しむ消費者に新たな負担となっている。燃料価格の上昇は輸送費や食品価格にも波及する可能性が高く、経済への影響が懸念されている。株式市場でもエネルギー価格高騰への警戒から主要株価指数が下落するなど、金融市場にも不安が広がっている。

一方、トランプ政権は状況を注視している。トランプ(Donald Trump)大統領はガソリン価格の上昇について、「状況が解消すれば急速に下がるだろうし、上がるなら上がる」と述べ、軍事作戦を優先する姿勢を示した。ただし、ホワイトハウス内部ではエネルギー企業との協議を進め、価格抑制策を検討する動きもあるとされる。

専門家の間では、戦闘が長期化すれば原油価格がさらに上昇し、1バレル=100ドルを超える可能性も指摘されている。世界のエネルギー供給は依然として中東情勢に大きく左右されており、今回の衝突は国際エネルギー市場の脆弱さを浮き彫りにしている。今後、戦況の推移と石油輸送の回復が、燃料価格の動向を左右する重要な要因となる見通しである。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします