SHARE:

米国の失業保険申請数22.4万件、低水準を維持 2025年12月

失業保険申請の減少は解雇件数の少なさを反映する先行指標として注目されている。
米ニューヨーク市マンハッタン(AP通信)

米国労働市場の指標となる失業保険申請件数が12月13日までの週に前週比で1万3000件減少し、22万4000件となった。労働省が18日、明らかにした。これは前週の23万7000件からの低下であり、依然として過去数年の歴史的に健全な水準で推移していることを示している。

専門家の予想は20万件前後であったが、実際の申請件数はこれを上回った。失業保険申請の減少は解雇件数の少なさを反映する先行指標として注目されている。

失業保険の申請は一般に企業の解雇動向を示すリアルタイムの指標として用いられ、今回の減少は大規模な大量解雇が広がっていないことを裏付けている。ただし、四週間平均の申請件数は先週比で500件増の21万7500件となっており、一定の変動はみられる。併せて前週までの週(12月6日終了週)に失業保険を申請した人は190万人に増加している。

労働省がまとめた最新の雇用統計によると、11月の非農業部門雇用者数は6万4000人増加し、市場予想の4万人を上回った。一方で10月には10万5000人の雇用喪失があったとされ、これは主に連邦政府の人員削減が影響したとみられている。この削減は16万2000人規模に達し、政策転換や組織再編の一環として進められた。これらの動きにより11月の失業率は4.6%に上昇し、2021年以来の高水準となった。

こうしたデータは米国の雇用情勢が一様に強いわけではないという複雑な現状を示している。申請件数自体は歴史的に低い水準にあり、企業が広範な解雇に踏み切っていないことを示唆する一方で、雇用増加のペースは鈍化傾向にあり、労働市場全体の勢いが弱まっているとの見方もある。また、長期的には供給網の混乱、金利政策、国際的な貿易環境など複数の要因が雇用動向に影響を与えている。

労働市場の先行きを判断するうえで、失業保険申請データは重要な指標とされているが、単独では完全な判断材料とはならない。雇用統計の他、失業率、求人倍率、給与水準の動向などマクロ経済全般の動きをあわせて評価する必要がある。専門家は米国経済が緩やかな成長軌道を維持する中で、労働市場の柔軟性が試されていると指摘しており、今後のデータが引き続き注目される。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします