米国2025年10月求人数ほとんど変化せず、景気減速鮮明に
10月末時点での未充足求人は767万件、9月は766万件であった。
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米国の2025年10月の求人件数は前月からほとんど変化せず、約770万件にとどまった。労働省が9日、明らかにした。
それによると、10月末時点での未充足求人は767万件、9月は766万件であった。
同時に、解雇件数は約190万件に達し、2023年1月以来の高水準となった。加えて、自発的退職は減少し、労働市場における労働者の自信が弱まっている可能性が示された。
過去と比べれば、求人件数は大きく減少している。ピークだった2022年3月には記録的な1210万件に達ったが、その後は高金利政策や景気の冷え込みの影響で求人需要は縮小してきた。
背景には、2022年から2023年にかけての高金利による企業のコスト抑制志向や景気の先行き不透明感、さらにはトランプ関税を含む政策の変化などがある。特に現在の政策環境は企業の採用抑制や雇用の慎重姿勢につながっているとの指摘がある。
また、直近では連邦政府の長期閉鎖(43日間)によるデータ収集の混乱があり、10月の報告は当初予定より1週間遅れて公表された。9月分のデータは公表されず、今回の報告書に合わせてまとめられた。これにより、雇用や失業率に関する精緻な判断には限界があるとの見方もある。
今後については、短期的な雇用の伸びは鈍化が見込まれており、11月の雇用状況が注目される。経済見通しが不透明なだけに、労働市場の「冷え込み」が今後の消費や景気全体への波及リスクとなる可能性がある。
