米国2025年11月インフレ率2.7%、数カ月ぶりの低水準に
物価の落ち着きが示された一方で、項目別の動きにはまだばらつきがある。
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米国労働省が公表した最新の消費者物価指数(CPI)によると、2025年11月のインフレ率は前年同月比で2.7%増となり、ここ数カ月で最も低い水準となった。
市場ではやや上昇するとの予想が広がっていたが、実際の数字はこれを大きく下回り、物価上昇ペースは明確に鈍化した。今回のインフレ率は直近で比較可能な数値としては7月以来の低水準となる。
この報告は政府機関の43日間に及ぶ部分的な閉鎖によって10月分の詳細な物価データが収集されなかったため、2カ月ぶりに公表されたものだ。閉鎖に伴うデータ収集の遅れは通常の統計プロセスに影響を与え、今回の数字にも一定の歪みが生じた可能性が指摘されている。これにより通常よりもインフレ率が低く出た可能性を専門家の一部は懸念している。
インフレ率2.7%という結果は経済専門家の多くが予想していた3.0~3.1%程度の上昇を大きく下回り、加えて食品とエネルギーを除いた「コアインフレ率」も2.6%にとどまった。コアインフレは通常、景気動向のより安定した指標とされるが、これも予想を下回った。
物価の落ち着きが示された一方で、項目別の動きにはまだばらつきがある。例えば、コーヒーや牛肉の価格は前年同月比で大幅に上昇しており、コーヒーは約19%、牛肉は約16%の値上がりとなった。他方で、卵の価格は13%以上下落しており、日常消費財の価格変動は依然として一定のばらつきを見せている。
このインフレ鈍化を受け、ホワイトハウスは18日、ポジティブな経済指標として歓迎した。政府当局者は物価上昇圧力の低下を強調し、家計の負担軽減につながる可能性を示唆した。一方、エコノミストの多くは政府閉鎖による統計への影響を慎重に評価する必要があると指摘し、来年初頭に発表される追加データの重要性を強調している。
広範な経済指標との関連では、インフレの鈍化が示された同時期に雇用統計も発表され、11月の雇用増加数が減少するなど労働市場の鈍化が見られた。このため、連邦準備制度理事会(FRB)は金融政策を慎重に判断する必要があるとの見方が出ている。インフレ圧力が和らいだとの判断は、利下げなどの政策変更に一定の余地を与える可能性があるものの、市場では依然として不確実性が強い状況が続いている。
