◎議会の指導者たちは、約9,000億ドルのコロナウイルス救済法案(第2弾)に合意した。
◎下院投票は12月21日、可決後速やかに上院に送られ、投票を行う予定。
COVID-19経済救済法案
・COVID-19経済救済法案:9,000億ドル
2020年12月20日、上下両院の指導者が合意に達する
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2020年12月21日、下院通過予定
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2020年12月21日、上院通過予定
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2020年12月22日~25日、トランプ大統領署名予定
・コロナ援助、救済、および経済安全保障法(CARES法):2.2兆ドル(230兆円)※2020年12月31日に失効
2019年7月下院通過
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2020年3月25日上院通過
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2020年3月27日下院、上院の修正に同意
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2020年3月27日トランプ大統領署名
12月20日夜、米議会の指導者たちは、州政府、中小企業、失業者、医療従事者などから切望されていた約9,000億ドルのコロナウイルス救済法案に合意したと発表した。
共和党のミッチ・マコーネル上院院内総務は記者団に対し、「上院と下院の4人の指導者が最終案に合意した。まもなく2つめの救済が提供されることになるだろう」と述べた。
ミッチ・マコーネル上院院内総務:
「市民はホリデーシーズン中もコロナウイルスと戦い続けている。私たちはこの法案を迅速に完成させ、土壇場での障害を回避し、速やかに両議会を通過させる」
民主党のナンシー・ペロシ下院議長とチャック・シューマー上院少数党首はこの法案を、「市民の命と生計を助けるために必要な法案」と呼んでいた。
しかし両者は、さらに多くの救済措置が必要だと主張し、新大統領就任後に第3弾を用意すると述べている。
予算の内訳
救済法の内訳(抜粋)は次の通り。なお、民主党が強く求めていた「州および地方政府への支援」はカットされた。
・大人と子供1人あたり最大600ドルの直接支払い
・ペイチェック保護プログラム(PPP):2840億ドル以上
・ライブ会場、独立した映画館、文化施設などへの支援:150億ドル
・失業手当:週300ドル
・立ち退きモラトリアム延長:250億ドル
・学校や大学などの教育機関への支援:820億ドル
・育児支援:100億ドル
・栄養支援プログラム:130億ドル
・リモート接続およびブロードバンドアクセス強化:70億ドル
・コロナウイルスワクチンの輸送費:80億ドル
・コロナウイルスワクチンの接種費用(市民への無料配布):200億ドル
・航空業界への支援:450億ドル
(空港に20億ドル、アムトラックに10億ドル、航空会社に160億ドル、その他)
・有給の病気休暇を提供する雇用主への支援:税額控除
救済法案にはCARES法(2020年12月31日に失効)の残予算4,290億ドルも加算されるため、総予算は約1.4兆ドルになる。
ABCニュースによると、下院投票は12月21日、可決後速やかに上院に送られ、投票を行う予定だという。両院は議会の会期を12月21日深夜に延長した。
トランプ大統領が求めていた現金支給は、年収75,000ドル(約770万円)以下の個人に600ドル。子供にも1人600ドル支払われる。(4人家族:2,400ドル)
週300ドルの失業手当は2021年3月14日まで延長された。
また、8月に申請の受付を停止した中小企業支援「ペイチェック保護プログラム(PPP)」も復活する。
ロックダウンや入場制限などで壊滅的な被害を受けたライブ会場、独立した映画館、文化施設などへの資金の提供も決まった。
年末に期限切れを迎える立ち退きモラトリアムも延長され、住まいからの強制退去に直面していた数百万の市民はひとまず救われた。
シューマー上院議員は記者団に対し、「予算は十分とは言えず、頭金として考えるべきだ」と第3弾の必要性を強調した。
コロナウイルスはアメリカの経済、特に中小企業の労働者に深刻な影響を与え、12月12日の週の失業手当申請数は885,000件まで増加した。(9月以来の高水準)
下院と上院
法案をトランプ大統領の手元に送るためには、多くの手続きを実行しなければならない。
救済法案資料は完成次第、下院議事規則委員会に送られる。ここでの検討には少なくとも数時間かかると伝えられている。
下院議事規則委員会での検討終了後、下院で討論され、投票に移行する。
上院は100人全員の同意を得なければ投票に移行できないため、手続きはより複雑になる。法案に不満を持っている議員が動きを起こすかどうかは不明。同意を得られなかった場合、マコーネル氏は投票に移行できる別の手続きを行わねばならず、これには数日かかる可能性がある。
ウィスコンシン州のロン・ジョンソン上院議員(共和党)は救済法案について、「効果がなく、借金を増やすだけではないか」と反対を示唆した。