◎トランプ前大統領は昨年、アフガニスタンとイラクで活動する米兵を大幅に削減し、アフガンについては2021年5月1日までに完全徹底すると約束した。
報道によると、ジョー・バイデン大統領は大方の予想通り、アフガニスタンからの米軍撤退を延期する可能性が極めて高いという。
トランプ前大統領は昨年、アフガニスタンとイラクで活動する米兵を大幅に削減し、アフガンについては2021年5月1日までに完全徹底すると約束した。
締め切り間近のバイデン大統領は、現在アフガニスタンで活動している米兵約2,500人の駐留期間を少なくとも数カ月間延長し、アフガン軍の支援を続けながらタリバンとの和平交渉を前進させることになる、と伝えられている。
アフガニスタン政府とタリバンの和平交渉は2月初めに何とか再開したが、行き詰まりを打開することはできていない。
アフガニスタンのアシュラフ・ガニー大統領は、タリバンとの権力共有協定が現政権の力を弱める可能性があると考え、タリバンの要求を受け入れることに消極的になっていると伝えられている。
バイデン大統領は先月放送されたABCニュースのインタビューの中で、「5月1日の締め切りに間に合わせることは難しいだろう」と述べた。「今、軍を撤退させることは難しいでしょう。安全と秩序を確立できた時、私は決断するつもりです」
2009年から2013年までNATO軍の最高司令官を務めた元海軍大将のジェームズ・スタビディス氏はAP通信の取材に対し、「今撤退することは賢明ではない」と述べた。「決定を下さないことが決定になることもあります。今回(5月1日)はそうなるでしょう。今すべきことは駐留期間の延長と、政府とタリバンの和平協定を速やかに再開し、成立させることです」
バイデン大統領はオバマ政権時代も含め、何年もの間、アフガニスタンでの行動は「アフガン政府主体」のテロ対策任務として適切に扱われると主張してきた。
しかし、タリバンは強大な力を維持する一方、アフガニスタン政府は非常に脆弱であり、今、米軍がアフガンから撤退すれば、20年近く続けてきた一連の平和維持活動は無駄になる可能性がある。
アフガニスタンの元米軍司令官、ジョセフ・ダンフォード海軍将軍(前統合参謀本部議長)が議長を務める超党派のアフガニスタン研究グループは2月に提出した報告書の中で、「撤退はアメリカをテロの脅威にさらし、アフガニスタンとアラブ一帯に壊滅的な影響を及ぼし、タリバンを含む主要なテロ組織に力を与えるだろう」と結論づけた。
バイデン大統領の決断は、アルカイダの9.11同時多発テロに対するアメリカのイラク侵略戦争がもたらした遺産に大きな影響を与える。イラクは米軍の絨毯爆撃で壊滅したが、ウサーマ・ビン・ラーディン率いるアルカイダおよび他のイスラムジハード組織はアフガニスタンに避難し、今も活動を続けている。
バイデン大統領は2020年のキャンペーン期間中、「大統領に選出された場合、アフガニスタンのテロ対策部隊の活動を維持する可能性はあるが、二度とアフガンに戻る必要がないように、責任を持って戦争を終結させる」と述べていた。
昨年秋に始まったアフガニスタン政府とタリバンの歴史的な和平交渉は戦争を終結させる希望と大々的に報じられたが、アフガン国内におけるタリバンとその他のジハード組織によるテロ攻撃は一向に止まず、交渉もほとんど成果を上げていない。
トランプ前大統領は昨年2月末のタリバンとの和平合意で、2021年5月までに米軍を完全撤退させると約束し、タリバンはアフガニスタン政府との和平協定を開始することに合意した。バイデン大統領が撤退を延期すれば、タリバンはNATO軍に対する攻撃を再開し、アフガニスタン戦争を悪化させる恐れがある。
バイデン大統領は就任直後の2月に米ータリバン合意の見直しを行っている。ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は6日の定例会見で、「前進(延長)するかどうかはまだ検討中」と述べた。「バイデン大統領は同盟国や国家安全保障チームと緊密に協議したうえで前進するかどうかを決断します」
バイデン大統領は米国中央軍のフランク・マッケンジー将軍などの軍事司令官から、「タリバンは2020年2月の合意を完全に履行していない」と報告を受けたと伝えられている。マッケンジー将軍はアフガニスタン国内の暴力のレベルは高すぎて、和平協定による政治的解決は望めないと主張している。