敵性外国人法に基づく不法移民の強制送還は違法=米テキサス州地裁

▽トランプ政権はベネズエラのギャング、トレンデアラグアのメンバーとされる人々の国外退去を早めるために敵性外国人法を使用したが、これは法律の範囲を超えるものであり、違法である。
2025年4月4日/エルサルバドル、中部テコルカの刑務所(Getty Images/AFP通信)

テキサス州の連邦裁判所が1日、トランプ政権による敵性外国人法に基づく不法移民の強制送還を違法と裁定し、送還を停止するよう命じた。

連邦判事は36ページに及ぶ意見書の中で、「トランプ政権はベネズエラのギャング、トレンデアラグアのメンバーとされる人々の国外退去を早めるために敵性外国人法を使用したが、これは法律の範囲を超えるものであり、違法である」と述べた。

トランプ政権は3月中旬、1798年に制定され、第2次世界大戦中に日系人の強制収容で使われたことで知られる敵性外国人法に基づき、トレンデアラグアの構成員とされる約250人をエルサルバドルの刑務所に送った。

3月末にはエルサルバドルのギャング「マラ・サルバトルチャ(通称MS-13)」のメンバーとされる17人もエルサルバドルに強制送還した。

トランプ政権は送還した移民をギャングのメンバーと呼んでいるが、一部の親族はそれを否定している。

3月以来、エルサルバドルは米国から300人近くのベネズエラ移民を受け入れている。その中にトランプ政権が誤って送還したと認めたメリーランド州在住のガルシア(Kilmar Abrego Garcia)さんも含まれている。

トランプ(Donald Trump)大統領はこの送還をめぐり、複数の法廷闘争に直面している。

コロラド州の連邦裁判所は先週、移民に少なくとも21日間、法廷で強制送還に異議を唱える機会を与えなければならないと裁定した。

テキサス州判事はさらに踏み込んだ判決を下し、テキサス州内で勾留されているベネズエラ人を敵性外国人法で送還することを「永久に」禁じた。

また判事はトランプ氏が不法移民の流入を「侵略」と評し、敵性外国人法の適用を正当化したことも否定。「それは侵略にも略奪にも当たらない」と裁定した。

国務省は2月、世界最大の麻薬組織「シナロア・カルテル」やメキシコ№2の「ハリスコ新世代」、ラ・ファミリア・ミチョアカーナ、ベネズエラのトレンデアラグアやエルサルバドルのマラ・サルバトルチャ(通称MS-13)など、中南米の8つの麻薬組織を「外国テロ組織」に指定した。

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