◎NY当局は2019年、トランプ・オーガナイゼーションが銀行から融資を受けるにあたり、資産価値を膨らませていたという疑惑に対する調査を開始した。
2021年1月20日/メリーランド州アンドリュース空軍基地、ドナルド・トランプ前大統領(ロイター通信)

12月20日、ドナルド・トランプ前大統領はニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官を訴え、トランプ・オーガナイゼーションが行ったとされる違法行為の調査をやめるよう圧力をかけた。

トランプ前大統領はジェームズ司法長官が政治的な理由で調査を追求していると非難し、NYは合衆国憲法で保障されている国民の権利を侵害したと主張していた。

ジェームズ司法長官は10月下旬にNY州知事選への立候補を表明したが、今月初めにこの決定を覆し、次期州知事の下でも司法長官として働きたいと述べ、トランプ前大統領を追い詰めると誓った。

NY当局は2019年、トランプ・オーガナイゼーションが銀行から融資を受けるにあたり、資産価値を膨らませていたという疑惑に対する調査を開始した。

トランプ前大統領は税金を減らすために資産を過少報告していた可能性がある。

ニューヨーク・タイムズ紙は昨年、「トランプ大統領は将来の減税のために、残損失の繰り越しを可能とする税法を利用している」と報じた。マイアミ近郊にあるトランプ前大統領所有のゴルフリゾート、トランプ・ナショナル・ドラルは2012年の購入以来、約1億6,230万ドルの損失を計上している。スコットランドとアイルランドのゴルフコースの合計損失は6,360万ドルだった。

また、トランプ前大統領の娘であるイヴァンカ氏の所有するコンサルティング会社は2017年の財務諸表で747,622ドルを受けとったと報告し、同年、トランプ・オーガナイゼーションは、ホテルプロジェクトの税額控除として747,622ドルのコンサルティング料を計上していた。

ABCニュースなどによると、ジェームズ司法長官は現在、トランプ・オーガナイゼーションが所有するマンハッタン、NY州北部、シカゴ、LAの物件に関する資料を調査しているという。

トランプ前大統領は民主党員であるジェームズ司法長官の追及を「魔女狩り」と呼び、調査の即時終了を求めている。

しかし、ジェームズ司法長官と調査に協力しているマンハッタン地方検事局のサイラス・ヴァンスJr.検事長は今年6月、「調査は民事のレベルを超えた」と述べ、刑事告発もあり得ると示唆した。

トランプ前大統領は任期中に確定申告を一度も公表せず主に民主党員から厳しく非難されたが、「公表するか否かは個人が決めること」と主張していた。合衆国大統領の確定申告公表はホワイトハウスの慣例のひとつだが、法で定められたものではない。

一方、議会下院の監視と改革に関する委員会は今年10月、ワシントンD.C.にあるトランプ・インターナショナルホテルに関する調査結果を公表した。

報告書によると、ホテルはトランプ前大統領の任期中に7,000万ドルの損失を計上したという。しかし、トランプ前大統領は少なくとも1億5,000万ドル(約170億円)以上の利益を上げたと主張していた。

トランプ・オーガナイゼーションは粉飾(利益操作)を否定し、民主党主導の委員会の報告書は誤解を招くと非難した。「報告書はトランプ大統領をひどく中傷するという民主党の継続的な政治的嫌がらせに他なりません...」

しかし、委員会は報告書の中で、「証拠はトランプが高級ホテルの財政状況を大幅に誇張したことを示している」と反論した。

2019年3月11日/ワシントンD.C.にあるトランプ・インターナショナルホテルの北入り口(Mark Tenally/AP通信)
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