アゼルバイジャンとアルメニアが和平協定に署名、トランプ氏仲介

この和平協定は南コーカサス地域を自国の影響圏とみなしているロシアを確実に動揺させ、トランプ政権にとって大きな成果となるだろう。
2025年8月8日/米ワシントンDCホワイトハウス、左からアゼルバイジャンのアリエフ大統領、トランプ大統領、アルメニアのパシニャン首相(ロイター通信)

アゼルバイジャンとアルメニアの首脳が8日、トランプ(Donald Trump)米大統領の仲介のもと、歴史的な和平協定に署名した。この協定は数十年にわたる紛争を経て、両国の経済関係を強化するものとなっている。

この和平協定は南コーカサス地域を自国の影響圏とみなしているロシアを確実に動揺させ、トランプ政権にとって大きな成果となるだろう。

トランプ氏はアゼルバイジャンのアリエフ(Ilham Aliyev)大統領およびアルメニアのパシニャン(Nikol Pashinyan)首相が見守る中、係争地ナゴルノカラバフをめぐる紛争が終結したことを祝った。35年という長い年月、両国は争い続けてきましたが、今では友好関係にあり、今後も長く友好関係を維持していくでしょう」

またトランプ氏は「両国は戦闘の停止、外交関係の樹立、互いの領土の完全性を尊重することを約束した」と述べた。

アゼル政府は23年9月、アルメニアの工作員が仕掛けた地雷により兵士2人と民間人4人が死亡したことを受け、ナゴルノカラバフへの「対テロ作戦」を開始。アゼル軍の集中砲火を受けたナゴルノカラバフの反政府勢力はまもなく降伏し、アゼル政府の要求を全面的に受け入れた。

ナゴルノカラバフは国際的にはアゼルの領土とみなされているが、1994年に終結した分離戦争以来、アルメニア政府の支援を受ける反政府勢力の支配下に置かれ、住民の大半はアルメニア人で構成されていた。

アゼル軍の勝利により、30年にわたるアルメニア人の支配に終止符が打たれ、市民約12万人がナゴルノカラバフからアルメニアに逃れた。

この和平協定には南コーカサスを通る戦略的な輸送回廊の開発権を米国が独占的に保有することが含まれている。

ホワイトハウスはこれにより、エネルギーやその他の資源の輸出が促進されると述べている。

トランプ氏は「エネルギー、貿易、人工知能を含む技術に関する協力を拡大するため、両国と個別に協定を締結した」と述べた。

またトランプ氏は「アゼルバイジャンと米国の防衛協力に関する制限も解除された」と述べ、関係強化を祝った。

アゼルとアルメニアは旧ソ連構成国だが、ロシアとの関係は最近冷え込んでいる。

アルメニアはナゴルノカラバフ紛争でロシアがアゼル寄りの方針を取ってことに反発。米国に急接近した。

アゼルはロシアの防空システムがアゼルバイジャン航空の旅客機を撃墜して以来、ロシアと距離を置いている。

両首脳はホワイトハウスの記者団に対し、紛争終結に貢献したトランプ氏をノーベル平和賞に推薦すると述べた。

「トランプ大統領でなければ、誰がノーベル平和賞に値するのでしょうか?」とアリエフ氏は述べた。

この和平協定はロシア、ヨーロッパ、トルコ、イランに隣接するエネルギー生産地域であり、石油とガスのパイプラインが交差し、長年にわたる民族紛争によって引き裂かれてきた南コーカサスを変革する可能性がある。

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