◎米フロリダ州地方裁判所は26日正午までに編集した宣誓供述書を開示するよう命じた。
米フロリダ州地方裁判所は25日、トランプ(Donald Trump)前大統領の豪邸「マー・ア・ラゴ」を家宅捜索するために作成された宣誓供述書を編集した状態で開示するよう検察当局に命じた。
一部のメディアや共和党関係者は令状取得に必要な宣誓供述書の開示を裁判所に求めていたが、司法省がこれに強く反発。開示すればFBI(連邦捜査局)の捜査に取り返しのつかない損害を与えるだけでなく、捜査に協力した個人を危険にさらす可能性があると警告した。
判事は25日、やむを得ない理由で公開できない部分を編集し開示するよう命じた。
FBIはトランプ氏が機密文書を含む安全保障に影響を与える文書やメモをホワイトハウスから自宅に持ち込んだとして、家宅捜索を強行した。
米大統領は退任時、文書や電子メールを国立公文書館に移管することを義務付けられている。
トランプ氏は不正行為を否定し、FBIがマー・ア・ラゴから押収した文書はすべて自分が大統領時代に機密解除したものだと主張している。
判事は26日正午までに編集した宣誓供述書を開示するよう命じた。また判事は、「検察はやむを得ない理由で文書の一部を黒く塗りつぶすのであれば、やむを得ない理由を明確にする必要がある」と警告した。
判事は▽証人▽問題に関与したとされる者の氏名▽捜査の戦略▽方向性▽範囲▽情報源などが編集の対象になるとした。
司法省は同日、修正案を含む宣誓供述書のコピーを判事に提出、その直後に判決が下された。
黒塗り文書でも▽トランプ氏が機密文書を持ち出したと疑われた理由▽マー・ア・ラゴから回収した機密文書の中身がある程度明らかになる可能性がある。
最大の問題はトランプ氏がいつ刑事告発されるかである。法律の専門家によると、機密を解除したというトランプ氏の主張が法廷で通用するかどうかは分からないという。大統領は機密を解除する権限を持っているが、その手続きがどのように行われるかは不明確である。
合衆国憲法は大統領が扱う機密文書や資料の持ち出しを禁じている。トランプ氏は在任中にこの法律の罰則を強化しており、有罪が確定すれば、最大で禁固5年に処される可能性がある。
令状は8月12日に開示され、マー・ア・ラゴから押収された11組の機密文書の目録が明らかになった。
いくつかの報道機関は前大統領の自宅の家宅捜索という前代未聞の事件を考慮し、公共の利益を理由に宣誓供述書の開示を裁判所に求めていた。
しかし、司法省は開示すればFBIの捜査に取り返しの使い損害を与える可能性があるとし、この申し出に抵抗した。
トランプ氏と弁護団は家宅捜索を政治的動機によるものと非難し、完全ノーカット版の開示を要求している。
トランプ氏の広報担当であるブドウィッチ(Taylor Budowich)氏は今週、「その内容を隠そうとする努力は政府の汚職を隠すためのものに他ならない」と主張した。
またトランプ氏の弁護団は今週、家宅捜索で押収された文書を保護し、文書が不正利用されないよう監督する独立した弁護士(主事)を任命するようフロリダ州裁判所に求めた。