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トランプ氏、JPモルガンを「政治的」口座閉鎖疑惑で提訴

トランプ氏は訴状で、JPモルガンがトランプ氏およびその関連企業の複数の銀行口座を政治的理由で閉鎖したと主張し、いわゆる「デバンキング(debanking)」を不当な差別行為と断定している。
トランプ米大統領と金融大手JPモルガン・チェース(AP通信)

トランプ(Donald Trump)大統領は22日、金融大手JPモルガン・チェースとその最高経営責任者(CEO)であるダイモン氏(Jamie Dimon)氏を相手取り、50億ドルの損害賠償を求める訴訟をフロリダ州の裁判所で起こした。トランプ氏は訴状で、JPモルガンがトランプ氏およびその関連企業の複数の銀行口座を政治的理由で閉鎖したと主張し、いわゆる「デバンキング(debanking)」を不当な差別行為と断定している。

訴状によると、問題の口座閉鎖は2021年2月に通知され、当時トランプ氏は大統領職を退いた直後で、2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件を受けて銀行が政治的・社会的動機に基づき距離を置こうとした結果だとしている。この通知は閉鎖まで60日間の猶予を与えるのみで詳細な理由は示されなかったとされ、これによってトランプ氏側は金融サービスへのアクセスが突然制限され、多額の資金移動を余儀なくされたと主張している。さらに、訴状ではトランプ氏とその関連事業体、トランプ家族が「ブラックリスト」に載せられ、他の金融機関との関係構築にも悪影響を及ぼしたと指摘している。

訴状を提出したトランプ氏の弁護士は、JPモルガンとダイモン氏がフロリダ州の不正競争防止法や取引慣行に違反したと訴え、政治的信条や言論に基づく差別が法律で禁じられている点を強調している。トランプ陣営はこの訴訟を通じて、銀行業界全体に広がっていると主張する政治的理由によるデバンキングの慣行に強い異議を唱える狙いがあるとみられている。

これに対し、JPモルガン側は声明で訴えに根拠がないと指摘。政治的または宗教的理由で口座を閉鎖したことはないと反論している。銀行の広報担当は声明で、「当社は政治的・宗教的理由で口座を閉鎖することはない」と述べ、法的・規制上のリスクが存在する場合に限り口座を閉鎖することがあると説明。また、訴訟に対しては争う意向を示し、同時に銀行セクターが「政治的な攻撃」から守られるべきだとの見解を示した。

この訴訟はトランプ氏が2025年にキャピタル・ワンを相手にデバンキングを巡る別の訴訟を起こしたことに続くもので、金融機関が顧客の政治的見解を理由にサービスを拒否するとの批判が保守派を中心に高まっている背景がある。またトランプ氏は大統領として、銀行規制当局に対しデバンキングの調査や規制強化を求める大統領令を発出するなど、政策面でもこの問題に取り組んできた。

一方で、JPモルガンとトランプ氏の関係は近年緊張が高まっており、トランプ政権下での銀行規制や金融政策をめぐる対立が影響しているとの指摘もある。ダイモン氏は過去にトランプ氏の政策に批判的な見解を示したことがあり、今回の訴訟は米金融界と政治の関係性を巡る議論を一段と複雑にするものとみられている。

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