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米国、一部の医薬品に100%関税へ、トランプ大統領令


政府が推進する「最恵国価格(MFN)」制度に参加せず、薬価引き下げに応じない製薬企業の製品に対して100%の関税が課される。
トランプ米大統領と医薬品のイメージ(Getty Images)

トランプ(Donald Trump)大統領は2日、医薬品分野に対する新たな通商措置として、一部の医薬品に最大100%の輸入関税を課す大統領令に署名した。今回の措置は主に特許で保護されたブランド医薬品を対象とし、米国内での薬価引き下げや生産移転を促す狙いがある。

大統領令によると、政府が推進する「最恵国価格(MFN)」制度に参加せず、薬価引き下げに応じない製薬企業の製品に対して100%の関税が課される。一方で、価格引き下げに同意した企業や、米国内での製造拠点整備に乗り出した企業については関税が軽減、あるいは免除される仕組みとなっている。

また、国内生産を進める企業には段階的措置が設けられ、新工場の建設段階では20%の関税に抑えられ、条件を満たせば最終的に関税が撤廃される可能性もある。大企業には約120日、中小企業には180日の猶予期間が与えられ、その間に政府との合意を目指すことになる。

一方、すべての医薬品が対象となるわけではない。ジェネリック医薬品や希少疾病用医薬品などは当面除外されるほか、日本や欧州連合(EU)、イギリスなど、既存の貿易協定を結ぶ国からの輸入品には10〜15%程度の低い関税が適用される。

トランプ政権はこの政策について、医薬品の国内生産を拡大し、供給網の安全保障を高めるとともに、米国の薬価を引き下げる効果があると主張している。実際に複数の大手製薬企業が価格引き下げや対米投資に応じており、数千億ドル規模の投資計画も示されている。

しかし、こうした強硬な関税政策には懸念も強い。業界団体や専門家からは、企業の負担増が研究開発投資を圧迫し、結果として医薬品価格の上昇や供給の不安定化につながる可能性が指摘されている。また、関税コストの多くは輸入業者や最終的には消費者が負担することになる。

今回の措置はトランプ政権が進める保護主義的な通商政策の一環であり、医薬品という重要分野に踏み込んだ点で国際的な影響も大きい。今後、各国や製薬企業の対応次第では、医薬品市場や貿易関係に広範な波紋を広げる可能性がある。

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