トランプ氏、国土安全保障省職員への給与支払い命じる大統領令に署名へ
今回の混乱は2026年2月にDHS予算の失効により始まった。
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米国土安全保障省(DHS)を巡る予算対立が長期化し、連邦政府機能の一部停止が続く中、トランプ(Donald Trump)大統領は2日、同省職員全員に給与を支払うための大統領令に署名する方針を明らかにした。議会の膠着状態が続く中で、行政権限を用いて事態の打開を図る異例の対応である。
今回の混乱は2026年2月にDHS予算の失効により始まった。背景には移民政策をめぐる民主・共和両党の対立がある。民主党は移民税関捜査局(ICE)に対する監視強化や改革を求め、これを条件に予算案への支持を約束した。一方、共和党はこうした条件を受け入れず、結果として予算成立に至らなかった。この対立により、DHSは部分に閉鎖され、多くの職員が無給で勤務を続ける事態となった。
影響は広範に及んだ。空港の保安を担う運輸保安局(TSA)職員や沿岸警備隊、災害対応機関など、国家安全保障に直結する部門の職員が給与を受け取れないまま業務を継続する状況が続いた。特にTSAでは欠勤や離職が増加し、空港の保安検査に長時間の遅延が発生するなど、市民生活に深刻な影響が及んでいる。
こうした中、トランプ氏はまずTSA職員への給与支払いを命じる大統領令を発出し、空港混乱の沈静化を図った。その後、対象をDHS全体に拡大し、「職員はあまりにも長く苦しんできた」として、すべての職員に対する支払いを確保する方針を示した。
この措置は議会を経ずに行政権限で予算を確保する点で注目される。ホワイトハウスは既存の予算や関連法に基づく資金を活用することで支払いを実現すると説明しているが、その法的根拠については議論が残る。
一方で、議会側の対立は依然として解消されていない。上院ではDHSの大部分を再開するための法案が可決されたものの、下院が採決を見送るなど、政治的駆け引きが続いている。共和党はICEを含めた包括的な予算措置を求め、民主党は改革なしの予算に反対する姿勢を崩していない。
今回の大統領令はこうした膠着状態の中で現場の混乱を抑える応急措置としての性格が強い。給与支払いは一時的に職員の負担を軽減する可能性があるものの、根本的な問題である予算問題が解決されない限り、政府機能の不安定さは続くとみられる。
米国では過去にも政府閉鎖が繰り返されてきたが、安全保障機関を直撃する長期的な資金停止と、それに対する大統領の単独措置という組み合わせは異例である。今回の対応は行政権限の拡大と議会の役割の在り方を巡る新たな論争を呼ぶ可能性が高く、今後の政治動向に大きな影響を与えると考えられる。
