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トランプ氏、カナダの「平和評議会」参加招待を取り消し

トランプ氏は自身のSNSに声明を投稿。「この書簡をもって、平和評議会はカナダの加盟に関するあなた(首相)への招待を撤回する」と書いた。
トランプ米大統領(左)とカナダのカーリー首相(Getty Images)

トランプ(Donald Trump)大統領は今週、自身が主導する「平和評議会(Board of Peace)」におけるカナダへの参加要請を正式に撤回した。トランプ氏は自身のSNSに声明を投稿。「この書簡をもって、平和評議会はカナダの加盟に関するあなた(首相)への招待を撤回する」と書いた。今回の動きは世界経済フォーラム(WEF)年次総会が開催されたスイス・ダボスでのカーニー(Mark Carney)首相の演説をめぐる外交上の緊張が背景にあるとみられる。

トランプ氏が立ち上げた平和評議会はガザ紛争の停戦の維持やガザ地区の復興支援を目的とする新たな国際協力の枠組みとして提唱されたもので、設立式典に複数の国が参加している。しかし、主要な欧州諸国の多く、イギリス、フランス、イタリアなどは参加を見送るか慎重な姿勢を示しており、カナダも正式な加盟には至っていなかった。常任理事国クラスの不参加表明や疑問の声が多い中、メンバー国にはアルゼンチン、バーレーン、モロッコ、パキスタン、トルコなどが含まれている。

カーニー氏はダボス会議の演説で、世界が「大国による支配的なルールに基づく秩序の衰退という時代」に直面していると述べ、経済統合が強国の圧力手段として使われる現状を批判した。また「大国に迎合して安全を買うことはもはやできない」と訴えたこの発言は国際的にも注目を集め、聴衆からはスタンディングオベーションを受けた。

トランプ氏はこの演説に反応し、同フォーラムの別の場で「カナダは米国のおかげで生きている」と持論を展開した後、カーニー氏のコメントに対して「感謝の念が足りない」と批判した。これに対しカーニー氏は帰国後、「カナダは米国のおかげで生きているのではなく、われわれ自身の価値と努力によって繁栄している」と反論し、両国間の関係はこれまで以上に緊迫したものとなっている。

今回の平和評議会からの招待撤回は、トランプ政権下での米加関係が近年にないほど悪化していることを象徴する出来事となった。両国は既に関税問題や貿易摩擦などをめぐって衝突しており、トランプ氏は就任後も度々カナダを批判する発言を繰り返してきた。今回の撤回を受け、カナダ政府内には「評議会自体の意義や透明性に疑問がある」との見方もあるものの、一方で米国との伝統的な同盟関係への懸念も強まっている。

トランプ氏の平和評議会構想は、国連安全保障理事会決議の下で設置されるなど国際的な枠組みの一部と位置づけられているが、その運営や資金調達の方法については依然として具体性を欠いているとの指摘もある。評議会の恒久メンバーとなるためには10億ドルの拠出を求められ、これに対してカナダは加盟に前向きであったものの資金面での懸念があったことも報じられている。

トランプ氏の今回の決定により、米加関係や国際協調の在り方について新たな議論が巻き起こることが予想される。

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