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トランプ氏、ベネズエラ大統領に退陣促す「辞任するのが賢明」

マドゥロ氏は23日、トランプ氏の発言に反発し、米国は自国の問題に集中すべきだと非難した。
トランプ米大統領(左)とベネズエラのマドゥロ大統領(Getty Images/AFP通信)

トランプ(Donald Trump)米大統領は23日、ベネズエラの独裁者であるマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領について、「退陣するのが賢明だろう」と述べた。

米国はマドゥロ政権に対する圧力を強め、軍事的・経済的な手段を通じて同国指導部に退場を促しており、記者の「最終的な目標は政権交代か」との問いに対してトランプ氏は「彼次第だが、退陣するのが賢明だと思う」と答えた。併せて、「もしタフに出れば、彼が二度とタフに出られない最後の機会になる」と警告した。

トランプ政権はここ数週間、ベネズエラ周辺で圧力を強めている。米海軍・沿岸警備隊は制裁対象とみなす石油タンカーに対して封鎖措置を敷き、複数のタンカーを拿捕したほか、海軍艦艇や兵力を充実させている。また、米軍はカリブ海や東太平洋で麻薬密輸に関与するとされる船舶への攻撃を続け、100人以上を殺害した。トランプ氏は押収した原油について、「売却するか保持するか」「戦略備蓄に使うかもしれない」と述べ、米国の戦略的利益にも触れた。

マドゥロ氏は23日、トランプ氏の発言に反発し、米国は自国の問題に集中すべきだと非難した。

マドゥロ氏は国営メディアのインタビューで「彼は自国の経済・社会問題に取り組むべきだ」と語り、外圧による政権交代を否定した。マドゥロ政権は長年にわたり反米姿勢を維持し、米国の行動を「帝国主義的」と批判している。

この動きを巡り、国際社会の反応も割れている。ロシアはベネズエラ政府への「全面的な支持」を表明し、米国の軍事的圧力を非難している。また、中国も一連の制裁と拿捕を国際法違反と批判し、双方が国連安全保障理事会での議論を呼びかけている。ロシア・中国はベネズエラの主要な支持国として、米国との緊張関係の激化に対して警戒を強めている。

米国は国連に対し、マドゥロ政権と結びつくとされる麻薬組織を標的とする資金源の遮断を強化する方針を示した。これに対し、ベネズエラ側は猛反発し、米国の行動を挑発的と非難している。

こうした一連の動きはベネズエラ情勢を巡る米・露・中の対立を一段と深刻化させている。トランプ政権の圧力強化がマドゥロ政権の退陣を促すか、それとも地域の緊張をさらに高めるか、今後の国際社会の対応が注目されるところだ。

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