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トランプ氏、ベネズエラ石油収入の差し押さえ阻止へ、大統領令に署名

大統領令は、ベネズエラ政府に代わって米国が管理する「外政府預託金(Foreign Government Deposit Funds)」に対して、裁判所が差し押さえ、執行、差し押さえ命令やその他の司法手続きを認めないと規定するものである。
ベネズエラの油田(Getty Images)

トランプ(Donald Trump)大統領がベネズエラ産原油の売却収益として米国が保有する資金を裁判所や債権者が差し押さえることを阻止する大統領令に署名した。この行政措置は同国の政治的・経済的安定化を支援するための資金を保全する狙いがあるとホワイトハウスは説明している。

大統領令は、ベネズエラ政府に代わって米国が管理する「外政府預託金(Foreign Government Deposit Funds)」に対して、裁判所が差し押さえ、執行、差し押さえ命令やその他の司法手続きを認めないと規定するものである。対象となる資金は、原油販売や希釈剤の販売から得られた収益で、財務省の口座に保管されている。これらの資金はベネズエラの「主権資産」として扱われ、私的な債権請求の対象にはならないとしている。

ホワイトハウスは声明で、こうした司法手続きによる資金の引き渡しは米国の国家安全保障と外交政策に重大な害を及ぼす可能性があるとし、国家非常事態法(National Emergencies Act)および国際緊急経済権限法(International Emergency Economic Powers Act)に基づいて非常事態を宣言したと説明した。大統領令によって、これらの収益は政府および外交目的のために保持され、他の目的に使われることはないと明記されている。

今回の動きはベネズエラの独裁者マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領が米軍の作戦によって失脚して以降、政情不安定な同国の経済・政治状況に米国が関与を強めている状況下での措置となる。トランプ政権はベネズエラ暫定政権との合意に基づき、最大5000万バレルの原油を米国の製油所に供給する計画を進めており、収益の管理が今後の外交・経済政策において重要な役割を果たすとみられている。

この大統領令には、米国の主要エネルギー企業との関係を含む複数の政治的側面がある。エクソンモービルなどの企業は過去にベネズエラで資産を国有化され、多額の損失を抱えている。コノコフィリップスのCEOはトランプ氏との会談で、自社が約120億ドルの損害を受けたと訴えたが、トランプ氏は「過去の損失は考慮しない」と述べ、今後の事業環境を「白紙から始める」と応じた。大統領令自体は特定企業を名指ししていないものの、私的債権者による資金差し押さえを阻止することで、同業者らの権利保護に対する懸念も生じている。

また、トランプ氏は9日、石油企業の経営者らにベネズエラの石油産業に対する1000億ドル規模の投資を促す意向を示した。この投資提案は老朽化した同国の石油インフラ再建を目的としており、米国企業の参入による経済復興の促進と、米国のエネルギー安全保障強化の双方を狙いとしている。

一方で、この措置は企業側の支持を完全には得ていない。過去の国有化や政治的不透明さが投資リスクとして残るため、慎重な対応を求める声も出ている。こうした環境下で、トランプ政権がどのようにベネズエラ政策を進めていくかは今後の国際エネルギー市場にも影響を及ぼす可能性がある。

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