◎米上院はトランプ大統領の弾劾裁判を合憲と認め、審議の継続を許可した。
◎チームトランプのブルース・キャスター弁護士は前大統領の弾劾は違憲であり、民主党員は合衆国憲法を無視し、共和党を貶めようとしていると主張した。
2月9日、米上院はトランプ前大統領の弾劾裁判を合憲と認め、審議の継続を許可した。
チームトランプの弁護士チームは元大統領の弾劾は違憲と主張し、民主党の訴えを却下する決議案を提出した。
しかし、上院は「賛成44ー反対56」でこの訴えを却下し、弾劾裁判は第2ラウンドに進むことを許可された。
トランプ前大統領は1月6日のDC議会議事堂の暴動を扇動したことで世界中から非難され、アメリカ史上初のダブル弾劾大統領として歴史に名を刻んだ。
検察官の下院民主党弾劾チームは1月6日の暴動のビデオを上院で公開し、トランプ前大統領の関与、弾劾の合憲性を訴えた。
下院民主党弾劾チームのリーダー、ジェイミー・ラスキン下院議員はトランプ前大統領の行動を厳しく非難したうえで、次のように述べた。
ジェイミー・ラスキン下院議員:
「暴動は犯罪、それを扇動した者も罪に問われる。しかし、トランプ前大統領は、事件の真実を覆い隠すために弁護士を派遣した。彼らは在職中に犯した犯罪は免責されるべきと主張している。彼らは退任した大統領を裁判にかけることは違憲と主張している...」
一方、チームトランプのブルース・キャスター弁護士は元大統領の弾劾は違憲であり、民主党員は合衆国憲法を無視し、共和党を貶めようとしていると主張した。
チームトランプの訴えに反対した共和党員は6人。これはある程度の超党派性を示すと同時に、トランプ前大統領に対する共和党の忠誠心がほとんど揺らいでいないことを明らかにした。
トランプ前大統領を弾劾するためには3分の2の賛成が必要であり、少なくとも共和党員17名が反旗を翻さなければ弾劾は成立しない。
有罪判決を受けた場合、トランプ前大統領は大統領選への出馬を禁じられる可能性がある。
ラスキン議員は、暴動当日に娘が議会議事堂を訪問していたことを悔やみ、涙を流した。
ジェイミー・ラスキン下院議員:
「娘は私に議会議事堂には二度と戻りたくないと言った。私はとても恥ずかしく、とても残念に思った。あの日、議会議事堂にいた大多数の市民が娘と同じことを思っただろう」
「暴動を水に流すなどあり得ない。元大統領は合衆国憲法の下であっても市民の意思を受け入れることはない、と主張する。アメリカは暴力も暴動の扇動も許可しない」
ラスキン議員の娘と夫は下院フロア近くのオフィスに隠れ、暴徒から身を守った。
一方、チームトランプのキャスター弁護士はラスキン議員の涙の訴えに困惑し、曲がりくねったプレゼンテーションを披露した。
ブルース・キャスター弁護士:
「率直に言って、ラスキン議員のプレゼンテーションは非常に効果的だと思ったので、話そうと思っていたことを変えた。私たちも暴動自体は誤りだと認めていることを理解してほしい」
キャスター弁護士の後を継いだデイビッド・シェーン弁護士は、トランプ前大統領の擁護に注力し、暴動についてはほとんど触れなかった。
裁判後、共和党のリンゼー・グラハム上院議員は記者団に対し、「私はチームトランプの向かっている方向を理解しているつもりだったが、今日の弁護を見てよく分からなくなった」と述べた。
共和党のジョン・コーニン上院議員は、「私は多くの弁護士と多くの議論を見てきた、今日のチームトランプの弁護は、最高とは到底言えない出来だった」と述べた。
この日の投票で民主党側に回った共和党のビル・カシディー上院議員は、チームトランプの弁護士を却下した。
ビル・カシディー上院議員:
「トランプ前大統領の弁護士チームは混乱していた。彼らはできる限りのことをしたと思う。彼らとても困惑し、私たちも困惑した」
「一方が素晴らしい仕事をして、もう一方がひどい仕事をしたら...私は良い仕事をした側に投票するつもりです」
トランプ上院弾劾裁判第2ラウンドは10日正午に開幕する。
次は双方が問題点を提示し議論を行う予定で、最大8時間続く可能性がある。
トランプ前大統領は裁判への出廷を却下している。なお、弾劾裁判を主催するパトリック・リーヒ上院議員が証人の召喚または召喚を要求をすることで裁判スケジュールを延長するかどうかは不明。
ジョー・バイデン大統領はコロナ救済法案の速やかな議論と承認を望んでおり、両党は迅速に裁判を進めると伝えられている。
報道によると、裁判は早ければ2月15日に結審する予定だという。