◎トランプ大統領はコロナウイルスの感染拡大に悩まされているブラジル、イギリス、EUの大部分に対する旅行制限を1月26日に解除すると発表した。
◎アメリカへの移住を希望しているホンジュラスの移民希望者は、グアテマラの治安部隊に打ちのめされた。
2021年1月12日 Getty Images/ワシントンD.C.ホワイトハウス、トランプ大統領

1月18日、トランプ大統領はコロナウイルスの感染拡大に悩まされているブラジル、イギリス、EUの大部分に対する旅行制限を1月26日に解除すると発表した。

驚愕の大統領令は、ジョー・バイデン氏の就任2日前に発出された。ただし、中国とイスラム教徒に対する入国禁止措置は引き続き継続するという。

この決定により、1月26日からブラジル、イギリス、そしてEUの大部分からの非アメリカ人旅行者の受け入れが許可される。

なお、対象の国から入国する旅行者は、コロナ検査で陰性だったことを証明するか、コロナから回復したことを証明するものを提出しなければならない。

ホワイトハウスは声明で、「対象の公衆衛生当局は、正確でタイムリーなコロナ検査および傾向データを共有するためにアメリカと協力した実績があります。アメリカは旅行を安全にするために、対象の国と積極的に協力しています」と述べた。

しかし、ホワイトハウスが声明を発表した直後、バイデン政権の報道官を務めるジェン・サキ氏は、「新政権は旅行制限を緩和しない」と述べ、大統領令を却下した。

ジェン・サキ次期報道官:
「世界の感染状況は悪化しており、変異種も確認されている。今、この段階で海外旅行の制限が緩和されることはない」

「新政権の医療チームの方針は全く異なる。バイデン大統領はコロナウイルスの感染拡大を防ぐために、海外旅行に関する公衆衛生対策を強化するだろう

トランプ大統領は昨年3月にヨーロッパ、5月にブラジルとの国境を閉鎖した。

2021年1月18日 EPA/グアテマラ、隣国ホンジュラスとの国境付近

一方、メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は、ホンジュラスからアメリカを目指す数千人の移民がグアテマラの国境近くに押し寄せた件を受け、アメリカに移民政策の大幅な見直しを行うよう要請した。

オブラドール大統領は声明で、「ジョー・バイデン大統領はメキシコや他の中央アメリカ諸国と協力して、移民に関する問題を解消するだろう」と期待を表明した。

貧困、迫害、汚職、暴力、自然災害に悩まされてきたホンジュラスの移民希望者は、徒歩でグアテマラからメキシコに入り、アメリカに移住したいと考えている。

グアテマラの当局者によると、1月17~18日の2日間で約7,000人の移民が国境付近に到達したという。

トランプ大統領は南部国境沿いにメキシコの壁を建設し、不法移民に対処する新たな法律を制定した。また、メキシコ、グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルの政府に移民希望者を厳しく取り締まるよう圧力をかけてきた。

地元メディアによると、治安部隊は移民希望者たちを警棒で打ち負かし、催涙ガス弾を撃ち込み、ホンジュラス側に押し戻したという。

一部の移民希望者は石を投げて抵抗したが、治安部隊の攻撃に屈した。

娘と一緒にアメリカを目指しているダニア・ヒネストローザ氏はAP通信の取材に対し、「ホンジュラスには仕事も食べ物もないので、アメリカに行くことにしました」と語った。

地元メディアのインタビューに応じた母親は、「自宅に戻る体力はありません。私たちは餓死するでしょう」と涙を流した。

18日夜、グアテマラの治安部隊は、国境近くの村で野営していた約4,000人のキャラバンを打ち負かし、解散させたと伝えられている。

2021年1月18日 EPA/グアテマラ、隣国ホンジュラスとの国境付近

オブラドール大統領は、「私たちはバイデン大統領の移民改革を待ち望んでいる」と述べた。

アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領:
「バイデン大統領は移民改革を実行すると誓約した。そして、私たちは彼が実行することを待ち望んでいる。私たちは協力しなければならない」

バイデン氏はトランプ大統領の厳格な移民政策を見直すと選挙期間中に誓約したが、ある新政権の高官は、「一夜にして法律が改正されることはない。移住を希望している人々は、すぐに入国することはできないと理解する必要がある」と語った。

また高官は、「バイデン政権は現在アメリカに向かっている移民ではなく、すでにアメリカ国内で生活している文書化されていない移民の待遇改善を優先するだろう」と述べた。

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