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トランプ氏、ベネズエラ大統領との電話会談認める、緊張高まる中

現地メディアによると、両首脳は11月、米国内での対面会談の可能性についても協議したという。だが、現時点では具体的な日程や予定は提示されておらず、実現の見通しは不透明だ。
トランプ米大統領とベネズエラのマドゥロ大統領(AP通信)

トランプ(Donald Trump)米大統領は11月30日、自身が最近、南米ベネズエラのマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領と電話で会話したことを認めた。ただし、会話の内容については明らかにしなかった。

現地メディアによると、両首脳は11月、米国内での対面会談の可能性についても協議したという。だが、現時点では具体的な日程や予定は提示されておらず、実現の見通しは不透明だ。

トランプ氏はワシントンDCへ向かうエアフォースワン機内で記者団の取材に応じ、マドゥロ氏との電話会談に言及。「良かったとも悪かったとも言えない。ただの電話だった」と語った。

背景には米国とベネズエラの間で高まっている軍事的・外交的緊張がある。トランプ政権は麻薬密輸撲滅を名目に、ベネズエラ周辺のカリブ海域で軍事的圧力を強めており、同時にベネズエラの政権交代を促す「最大圧力」政策を取ってきた。

こうした強硬姿勢のなかで、トランプ氏がマドゥロ氏との通話を認めたことは、緊張関係のなかにわずかな外交の“余地”が残されている可能性を示すものと受け止められている。

一方で、ホワイトハウスはこれまで、マドゥロ政権を「麻薬組織」と名指しし、取り締まりと政権交代の両方向を模索してきた経緯がある。

また、今回の通話認定と併せて、トランプ政権がベネズエラに対する圧力をさらに強める可能性があることを示す報道も相次いでいる。

米軍のカリブ海展開、麻薬密輸船への攻撃、ベネズエラ領空の「完全閉鎖」を示唆する声明。これらと並行しての電話協議であるため、外交の“予備交渉”あるいは揺さぶりの一環ではないか、との見方もある。

ただし、ベネズエラ側はこの通話について公式なコメントを控えており、政府としての声明も出していない。国民議会の議長は別の問題への対応を優先し、この協議には触れなかったとしており、両国の間にある深い不信感と複雑な駆け引きの構図が浮き彫りとなっている。

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