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ハイチ大統領暗殺事件、米フロリダ州で被告4人の裁判始まる


検察側は冒頭陳述で、事件の背景には「強欲、傲慢、そして権力欲」があったと指摘した
2021年7月8日/ハイチ、首都ポルトープランスの警察庁舎、ジョブネル・モイーズ大統領の暗殺に関与したとされる傭兵たち(Jean Marc Hervé Abélard/AP通信)

2021年にカリブ海の島国ハイチで起きたモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺事件をめぐり、事件への関与が疑われる4人の男の裁判が10日、米フロリダ州マイアミの連邦裁判所で始まった。検察は被告たちが権力掌握と金銭的利益を目的に暗殺計画に関与したと主張している。

起訴されているのはアルカンヘル・プレテル・オルティス(Arcangel Pretel Ortiz)、アントニオ・イントリアゴ(Antonio "Tony" Intriago)、ワルテル・ベインティミジャ(Walter Veintemilla)、ジェームズ・ソラージュ(James Solages)の4人。米当局によると、4人はフロリダ州で計画を立て、モイーズ氏を誘拐または殺害する陰謀に関与した罪に問われている。有罪となれば終身刑に処される可能性がある。

検察側は冒頭陳述で、事件の背景には「強欲、傲慢、そして権力欲」があったと指摘した。被告たはモイーズ氏を排除して政権を掌握し、新政権から事業契約などを得て利益を得ようとしたとされる。担当検事は「証拠を確認した結果、計画の構図は複雑ではないことが明らかになった」と述べ、被告たちがハイチの国家や国民を軽視しながら計画を進めたと主張した。

事件は2021年7月7日、首都ポルトープランス近郊のモイーズ氏の自宅で発生した。襲撃には主にコロンビア出身の元軍人など20人以上の外国人傭兵が関与したとされ、モイーズ氏は銃撃されて死亡、夫人も重傷を負った。

米当局によると、暗殺計画の多くは南フロリダで準備されたとみられる。被告のうちイントリアゴとオルティスは「CTU」と呼ばれる民間警備関連企業の関係者で、ベインティミジャは金融会社の幹部だった。検察はこの企業がコロンビア人の元兵士らを雇い、武器や装備を調達するなど計画を進めたと説明している。

計画当初、実行グループはハイチ系米国人の医師を大統領の後任候補として据える構想を持っていたとされる。しかし後に支持が不足していると判断され、別の人物を候補とする案が浮上したという。

一方、弁護側は検察の主張を否定している。弁護士は、ハイチ当局の捜査は混乱しており信頼性に欠けると主張し、被告たちは大統領候補に選ばれた人物に利用されて計画の責任を押し付けられた可能性があると述べた。また、被告たちはモイーズ氏を合法的に逮捕する作戦だと信じて関与していたと説明している。

裁判では、事件当時に負傷したモイーズ夫人が最初の証人として証言した。裁判は2カ月間にわたって行われる見通しで、暗殺の背後関係や資金の流れがどこまで明らかになるかが注目されている。

モイーズ氏の暗殺後、ハイチでは政治的混乱と治安悪化が深刻化した。ギャングが勢力を拡大し、国家機能の弱体化が指摘されている。今回の裁判は事件の全容解明と責任追及に向けた重要な節目とみられている。

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