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米司法副長官、エプスタイン文書の「恣意的削除」疑惑を否定

司法省は人身取引罪で起訴され収監中に死亡したエプスタインに関する捜査資料を、先月成立した法令に基づき公開しており、この法令は司法省に膨大な関連記録の開示を義務付けている。
2025年12月19日/米ワシントンDCホワイトハウス、トランプ大統領(AP通信)

司法省のトッド・ブランチ(Todd Blanche)司法副長官は20日、連邦捜査当局がジェフリー・エプスタイン関連資料の公開に際し、トランプ(Donald Trump)大統領の言及部分を意図的に削除または編集しているとの疑惑を否定した。

ブランチ氏はABCニュースのインタビューで「トランプ大統領の名前が出てくる記録だからといって、公開を控えるような努力は一切していない」と述べ、特定の人物の情報を秘匿しているという疑惑を否定した。

司法省は人身取引罪で起訴され収監中に死亡したエプスタインに関する捜査資料を、先月成立した法令に基づき公開しており、この法令は司法省に膨大な関連記録の開示を義務付けている。

その資料には捜査文書、写真、電話記録、フライトログなど多岐にわたる情報が含まれているが、その多くが大幅に黒塗りされた形で公開されている。司法省はこの黒塗りについて、被害者のプライバシー保護や現在進行中の捜査への影響を避けるためと説明しているが、公開された資料にトランプ氏の名前や関連記述がほとんど見当たらないことが一部で批判の対象となっている。

ブランチ氏はインタビューで、今後も公開可能な記録は順次公開する方針を示し、「トランプ大統領に言及する全ての文書も公開される」と述べた。また、同様にビル・クリントン(Bill Clinton)元大統領や実業家リード・ホフマン(Reid Hoffman)氏らの名前についても、特別に秘匿したり削除したりする意図はない」と強調した。これに対して民主党議員らは、公開された資料が不十分であり、法令が要求する完全な開示になっていないと批判している。

司法省が最初に公開した資料群にはトランプ氏の関係を示す記述や写真がごくわずかしか含まれていなかった。これに対し、司法省とホワイトハウス側は公開された内容に基づいて偏見を持つべきではないとの立場を示し、「公開可能な資料の公開は着実に進められている」と説明している。

一方で、公開された資料の一部にはクリントン氏の写真があり、これが政治的に利用されているとの指摘もある。クリントン氏の広報担当は写真があるとしても不正行為の証拠にはならないとして反論している。

司法省によるエプスタイン関連資料の公開は現在も進行中であり、今後数週間から数か月にかけてさらに多くの文書が公開される見込みである。これを受けて、両党の議員や被害者支援団体が透明性の確保を求める声を強めている。公開された資料の内容とその取り扱いを巡る論争は、引き続き政治的な焦点となっている。

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