2025年の米国株式市場急騰、記録的な1年に、2026年は?
この躍進は関税政策による混乱や政府機関の一時閉鎖、人工知能(AI)関連株式のバブル懸念といった逆風をものともせず、市場が高値を維持したことを示すものであった。
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米国株式市場は2025年、主要株価指数が大幅に上昇し、投資家にとって記録的な一年となった。S&P500は年末までに約17%の上昇となり、世界の多くの市場を牽引した。この躍進は関税政策による混乱や政府機関の一時閉鎖、人工知能(AI)関連株式のバブル懸念といった逆風をものともせず、市場が高値を維持したことを示すものであった。
専門家によると、この株高を支えた要因は複数ある。まず企業業績が堅調であったことが挙げられる。多くの大企業が予想を上回る利益を計上し、特にテクノロジーセクターが市場全体の上昇を牽引した。また、連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ観測も投資家心理を支え、株式への資金流入を促進した。さらに、AI関連企業の成長期待が株価を押し上げ、いわゆる「マグニフィセント・セブン(Magnificent Seven)」と呼ばれる大型ハイテク株が指数を牽引した。
2026年の展望について、アナリストの意見は概ね前向きだが、リスクも指摘されている。複数の金融機関は2026年に株式市場がさらに上昇するとの予想を出している。例えば、ある大手証券会社はS&P500が2026年末に7500〜8000ポイントに達する可能性を示唆しており、これは2025年末時点の水準から10〜15%程度の上昇を意味する。利下げ期待と堅調な企業収益が引き続き市場を支えるとの観測が背景にある。
また、株式市場全体がテクノロジー株に偏重している現状を踏まえ、アナリストの一部は「銘柄やセクターの広がりが見られる可能性」を指摘している。複数のセクターが同時に上昇することで、これまでのテック一極集中型の上昇から、より幅広い成長が期待されるという見方だ。大手証券のストラテジストは、「全11セクターが2026年に上昇する可能性がある」と述べ、株高がより多様な業種に波及するとの予想を示した。
一方で懸念材料も存在する。なかでもAI関連株のバリュエーション(株価収益率)が歴史的に高水準にあることを理由に、調整リスクを指摘する声がある。長期にわたって高PERで推移してきた企業群は、業績が期待を下回った場合に大きな下落圧力を受ける可能性があるとの指摘だ。また、インフレや労働市場の鈍化といった経済指標の不確実性も、来年の市場に影響を与える要素として挙げられている。
金融大手の予測をまとめると、2026年は総じて株価上昇が見込まれるものの、投資家にとってはこれまで以上にリスク管理が重要になるとの見方が強い。企業収益の拡大、利下げ継続への期待、AI関連投資のさらなる進展といった明るい材料と、バリュエーションの割高さやマクロ環境の不透明感という懸念がせめぎ合う年になる可能性がある。専門家は「引き続き慎重なポートフォリオ戦略が求められる」と指摘している。
