◎テキサス州は先月、物議を醸す通称「ハートビート法(TX SB8)」を施行した。
2021年9月1日/テキサス州オースティンの議会議事堂前、中絶禁止法の施行に反対する女性たち(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

主要メディアによると、テキサス州の地方裁判所はテキサス州の中絶禁止法を一時的に停止する差し止め命令を州政府に出したという。

テキサス州は先月、物議を醸す通称「ハートビート法(TX SB8)」を施行した。女性の性と健康を支援する非営利団体やアメリカ自由人権協会を含む権利団体は最高裁判所にこの州法の停止を求めたが、判事は訴えを棄却した。

これにより、1973年のロー対ウェイド判決で認められた中絶の権利が初めて覆されることになった。

※ロー対ウェイド事件(1973年):最高裁判所は妊娠中絶を「合衆国憲法で保障される権利」と認め、堕胎禁止を初めて違憲と認めた。

ハートビート法は妊娠6週目以降の女性に中絶手術を提供した医師と、中絶に関与した個人や団体に最大10,000ドル(約110万円)の損害賠償を起こす権利を「民間人」に与えるため、多くの専門家が「賞金稼ぎ訴訟」を誘発する可能性があると警告していた。

テキサス州の判事は6日、バイデン政権の差し止め請求を認め、ハートビート法を一時的に停止するようテキサス州に命じた。ロバート・ピットマン裁判官は判決文の中で、「TX SB8は合衆国憲法で保障されている女性の権利を不法に妨げた」と述べた。「女性は自分の生活を管理する権利を認められています...」

ビットマン裁判官はテキサス州が上訴した場合も差し止め命令は上訴の判決が言い渡されるまで維持されると強調した。

司法省のメリック・ガーランド司法長官は6日の声明で判決を称賛した。「合衆国憲法を擁護することは司法省の最優先事項です。私たちは憲法で保障された権利を弱体化させようとする全ての個人および団体から国民を守ります」

ハートビート法の施行以来、テキサス州で妊娠6週目以降に中絶を希望する女性は他の州まで数百キロ移動しなければならなくなった。

しかし、主要メディアによると、テキサス州内で中絶手術を行っていた医療機関が手術を再開するかどうかは分からないという。ある医療専門家はソーシャルメディアに、「判決は一時的なものに過ぎず、訴訟を恐れる医療機関は州法が恒久的に差し止められない限り、治療を再開できないだろう」と投稿した。

テキサス大学の憲法専門家であるスティーブ・ヴラデック教授はABCニュースの取材に対し、「TX SB8に盛り込まれている規定の1つは、差し止め命令が有効な間に行われた中絶も、差し止め命令が後で取り消された場合に訴訟の対象となる可能性があると規定している」と述べた。

多くの中絶擁護派および人権団体も差し止め命令を歓迎しつつ、恒久的な停止命令が必要と指摘した。

2021年10月2日/カリフォルニア州ロサンゼルス郡、テキサス州の中絶法に反対する行進(Getty Images/AFP通信)
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