米ニューヨーク市放火殺人、42歳男逮捕、警察が発表
事件は8日に発生。仮釈放中のジャメル・マクグリフ容疑者が住宅に侵入して夫を刺殺し、その後放火したとみられる。
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米ニューヨーク市クイーンズ地区の民家で70代の夫婦が殺害された事件について、捜査当局は10日、容疑者を逮捕したと明らかにした。
事件は8日に発生。仮釈放中のジャメル・マクグリフ(Jamel McGriff、42歳)容疑者が住宅に侵入して夫を刺殺し、その後放火したとみられる。
ニューヨーク州警察の本部長は8日の記者会見で、「76歳のフランク・オルトン(Frank Olton)氏は自宅地下室で柱に縛られ、複数の刺し傷を負った状態で、77歳の妻モーリーン(Maureen Olton)氏は1階で重度の火傷を負った状態で発見された」と語った。
妻は搬送先の病院で死亡した。
本部長は10日、X(旧ツイッター)に声明を投稿。「市警察官がマンハッタン中心部で指名手配中の容疑者を逮捕した」と書いた。
市警は被害者のクレジットカード利用履歴から容疑者の居場所を追跡。10日の午後5時40分頃に身柄を確保した。
容疑者と夫婦の接点は確認されていない。捜査当局は「強盗目的で押し入った可能性が高い」と説明している。
市警は容疑者の認否を明らかにしていない。
市営によると、夫妻の息子(ニューヨーク市消防局の救急救命士)が警報システムで火災を知り、現場に駆けつけたという。
市警は防犯カメラの映像から容疑者を特定、指名手配し、行方を追っていた。
市警によると、防犯カメラ映像には容疑者が8日の午後3時頃に家を出る様子が映っていた。
米国における殺人件数は社会状況や治安政策、経済環境に大きく左右されてきた。FBIの統計によると、1990年代初頭には年間2万件を超える殺人が発生していたが、その後は治安改善、警察活動の強化、薬物犯罪の抑制などを背景に減少傾向をたどり、2014年頃には約1万4千件前後まで下がった。この時期は「暴力犯罪の歴史的低水準」とも評され、米国社会に一定の安堵感を与えた。
しかし、2015年以降は一部都市で殺人件数が再び増加に転じ、さらに新型コロナウイルス流行下の2020年には全米で急増した。
FBIのデータでは2020年の殺人件数はおよそ2万1千件とされ、前年比で3割近い増加となった。これは1960年代以降で最も大きな増加幅であり、社会不安、銃の販売急増、警察と地域社会の関係悪化、パンデミックによる生活不安などが複合的に影響したと分析されている。
都市部の中でもシカゴ、ボルティモア、セントルイスなどは長年殺人率が高い地域として知られ、麻薬取引やギャング抗争、貧困と格差がその背景にある。また、米国における殺人の大半は銃器によって行われており、全体の約7割を銃が占める。銃規制の不十分さは、米国の殺人件数を他の先進国と比べて突出させる要因となっている。
2022年以降、一部都市では殺人件数が再び減少に転じているが、依然としてパンデミック前の水準には戻っていない。治安対策としては警察改革や銃規制強化が議論される一方、地域格差や教育・雇用の不安定さといった構造的要因への取り組みも不可欠とされる。
米国の殺人件数は歴史的には長期的減少傾向にあるものの、近年は社会的ショックや銃社会の根深さによって大きく変動する状況が続いている。