SHARE:

米スターバックス、ニューヨーク市内の34店舗閉店へ

ニューヨーク・タイムズ紙は同社が全米規模で事業縮小を進める中、ニューヨーク市内の5区にまたがる34店舗を閉鎖する見通しと報じた。
2025年1月15日/米ニューヨーク市マンハッタンのスタバ(Getty Images/AFP通信)

コーヒーチェーン大手スターバックスがニューヨーク市内の34店舗を閉鎖する予定だ。現地メディアが1日に報じた。

ニューヨーク・タイムズ紙は同社が全米規模で事業縮小を進める中、ニューヨーク市内の5区にまたがる34店舗を閉鎖する見通しと報じた。

ブライアン・ニコル(Brian Niccol)CEOは9月30日に10億ドル規模の再編計画を発表。北米全域で従業員900人を削減する予定。店舗閉鎖により、北米スターバックス店舗の総数は約1%減少する見込みだ。

ニコル氏は「見直し過程で、顧客や従業員が期待する環境を提供できない店舗、あるいは財務的成果が見込めない店舗を特定した。これらの店舗は閉鎖される」と述べた。

またニコル氏は「良い進展はみられるものの、より良く、強く、回復力のあるスターバックスを構築するには、まだやるべきことが山積みだ」と付け加えた。

スターバックスは近年、業績の伸び悩みと構造改革の必要性に直面している。2024年度通期の売上高は約361億ドルで、前年からの成長率はわずか0.6%にとどまった。これまで成長をけん引してきた北米市場においても既存店売上が減少傾向にあり、第4四半期には米国内での既存店売上が前年比6%減、中国市場でも8%減となった。これにより、グローバル全体での既存店売上は7%減と大幅なマイナスを記録した。

利益面でも厳しい状況が続いている。2024年度の営業利益は約13億ドルと前年の17億ドルから大幅に減少し、営業利益率も従来の20%前後から15%を下回る水準にまで低下した。2025年度第3四半期(6月期)においても、営業利益は前年同期比38%減の9億3600万ドル、1株当たり利益(EPS)も前年同期の0.93ドルから0.49ドルへと大きく落ち込んでいる。主な要因としては、原材料費・人件費の上昇、オペレーションの複雑化、来店客数の減少が挙げられる。

こうした業績悪化を受けて、スターバックスは先月、大規模な構造改革を発表した。これには最大10億ドル規模のリストラクチャリング費用が含まれ、主に北米市場における不採算店舗の閉鎖や業務効率化、人員削減(900人規模)が計画されている。この再編は、顧客体験の質向上や店内業務の簡素化、新メニューの開発などを含む「バック・トゥ・スターバックス(Back to Starbucks)」戦略の一環として位置付けられている。

ただし、同社は2025年通期の業績予想(ガイダンス)を一時的に撤回しており、経営環境の不透明さも浮き彫りになっている。主要市場における需要減退、消費者の節約志向、競争の激化といった外的要因もスターバックスの回復を阻む可能性がある。今後、構造改革の成果が業績にどの程度反映されるかが注目される。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします