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米国「コーヒー戦国時代」、苦戦強いられるスタバ

米国人のコーヒー消費自体はここ数十年、高水準を維持しているものの、スターバックスから他のチェーンへ顧客が流出している実態が明らかになった。
米コーヒーチェーン大手スターバックスの看板(Getty Images)

米国市場で「スターバックス」の苦戦が鮮明になっている。米国人のコーヒー消費自体はここ数十年、高水準を維持しているものの、スターバックスから他のチェーンへ顧客が流出している実態が明らかになった。スターバックスは依然として米国最大のコーヒーチェーンであり、約1万7000店舗を展開しているが、競争環境が激化する中でマーケットシェアの低下に直面している。

調査会社テクノミックによると、スターバックスの全米のコーヒーショップにおける売上シェアは、2023年の52%から2025年には48%に低下した。一方、老舗のライバルであるダンキンは、米国内で1万店舗を超える出店を達成し、シェアを拡大している。

スターバックスの前に立ちはだかる競争相手は多様化している。アーカンソー州発の7Brew、ネブラスカ州発のScooter’s Coffee、そしてアリゾナ州発で元スターバックス幹部が率いるDutch Brosといった新興のドライブスルーチェーンが急成長しているほか、中国のLuckin CoffeeやMixueも米国市場に進出を進めている。また、高価格帯のコーヒーショップBlue Bottleや大手ファストフードチェーンのマクドナルド、タコベルも飲料メニューの強化で競争力を高めている。

このような競争激化の背景には、米国のコーヒー消費者が「コーヒーの多様な選択肢」を求めるようになったという市場の変化がある。ジョージワシントン大学経営学部のクリス・ケイズ(Chris Case)准教授は、「消費者はスターバックスのファンであり続けているが、他のコーヒーも楽しむ“ポリアモラス”な選択をしている」と指摘する。

実際、全米のコーヒー愛飲率は高く、2024年および2025年の調査では、米国民の約66%が毎日コーヒーを飲んでいると報告されている。これは2020年から7ポイントの増加だが、その恩恵をスターバックスだけが享受しているわけではない。

新興チェーンの強みとしては、価格や利便性、商品差別化が挙げられる。例えばDutch Brosではミディアムサイズのドリンクが24オンス(約710ml)と大容量であることを強調し、コストパフォーマンスを打ち出しているほか、Luckinはアプリによる割引プロモーションで来店を促している。これに対し、ある消費者は「スターバックスは高すぎる」との評価を示している。

専門家の分析では、2024年の平均顧客支出はスターバックスが9.34ドルであるのに対し、Dutch Brosが8.44ドル、ダンキンが4.68ドルと大きな開きがあることも明らかになった。

スターバックスはこうした状況を受け、店舗の体験価値向上や新商品開発、従来のドライブスルー主体ではなく、座席のあるカフェ空間の強化に注力する方針を示し、今後も新規出店や既存店舗の改装で顧客を引きつける戦略を打ち出している。

ただし一部の専門家は、スターバックスが「成熟市場にあり、無制限に成長できるわけではない」との見方を示している。このため、価格競争に巻き込まれることなく、独自のブランド価値を維持していけるかが今後の鍵となる。

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