米スペースX、100万機の人工衛星を軌道に投入、FCCに申請
これは人工知能(AI)のデータ処理需要の急増を受け、「軌道上データセンター」として機能する衛星コンステレーション(衛星群)を構築する構想の一環とされる。
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米国の宇宙企業スペースXはこのほど、人工衛星約100万機を低軌道に打ち上げる計画について連邦通信委員会(FCC)に申請を行った。これは人工知能(AI)のデータ処理需要の急増を受け、「軌道上データセンター」として機能する衛星コンステレーション(衛星群)を構築する構想の一環とされる。申スペースXによると、同社はこの新ネットワークに太陽光発電を搭載した衛星を用いることで、地上に設置された従来型データセンターよりコストとエネルギー効率が高いデータ処理能力を実現する予定だという。AI技術の急速な発展により処理能力の需要が既存の地上インフラでは追いつかなくなりつつあるとの認識に基づいている。
この計画はスペースXがすでに展開している通信衛星ネットワーク「スターリンク」をさらに大規模に拡張するものと位置付けられる。スターリンクは現在、約1万機の衛星を軌道に配備し、世界中でインターネット接続サービスを提供している。今回の申請が認められれば、軌道上に常駐する人工衛星の数は飛躍的に増加することになる。
スペースXは申請の中で、新ネットワークが「世界中の数十億人に対応可能なコンピューティング能力を提供する」とし、「太陽の全エネルギーを活用できる規模の文明への第一歩」とする高い理念を掲げている。この表現は1960年代に提唱された仮想的な文明段階を示す「カルダシェフ・スケール」に言及したものだと説明されている。
一方で、専門家や宇宙関連団体からは懸念の声も出ている。打ち上げられる衛星の数が膨大な規模に達すれば、既存の軌道空間がさらに混雑し、宇宙ゴミ(スペースデブリ)や衛星同士の衝突リスクが高まる可能性が指摘されている。また、衛星の軌道運用や冷却、電力供給を宇宙空間でどのように長期的に維持するかといった技術的課題も残されている。
スペースXが今回提示した100万機という数値は現実的な配置目標としてではなく、設計上の柔軟性を持たせるために大きめに設定された可能性があるとする見方もある。過去にも同社はスターリンクの展開計画で当初の申請より多い数の衛星を想定して規制当局に申請した例があり、実際の運用数は段階的に見直されてきた。
申請はFCCに提出されたものの、同委員会がこの計画全体を承認するかどうかは不透明だ。FCCは過去にも衛星通信ネットワークに関する規制を慎重に検討してきた経緯があり、今回も衛星数や軌道使用の影響、スペーストラフィック管理(軌道管理)などを基に審査が行われる見込みだ。
スペースXは、同社の次世代ロケット「スターシップ」を活用することで大量の衛星を効率的に打ち上げる能力を高め、こうした大規模展開を可能にする姿勢を示している。申請内容の審査結果や今後の具体的なスケジュールについては、当局とスペースX側の協議が続けられる見込みである。
