トランプ政権の医療保険改革案、詳細不明で専門家困惑
トランプ氏はビデオ声明の中で、「政府が大手保険会社に支払っている金を直接国民に送ることで保険料を引き下げる」と説明し、今回の案が保険市場の構造を根本から変える可能性を強調した。
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トランプ(Donald Trump)米大統領が1月15日に発表した新しい医療保険改革案「The Great Healthcare Plan(偉大なる医療保険計画)」について、複数の医療政策専門家は内容の不透明さや影響の不確かさを指摘し、評価が定まらない状況となっている。今回の計画発表はほとんどの州で通称「オバマケア(Affordable Care Act/ACA)」の加入期限となる日と重なっており、保険加入者や政策関係者に衝撃を与えている。
トランプ氏はビデオ声明の中で、「政府が大手保険会社に支払っている金を直接国民に送ることで保険料を引き下げる」と説明し、今回の案が保険市場の構造を根本から変える可能性を強調した。しかし、ホワイトハウスが公開したのは1ページの概要資料と短い動画のみで、実際の資金量や適用方法、制度設計の詳細はほとんど示されていない。専門家の間では「計画の実効性を判断するための具体的なデータや仕組みが欠けている」との批判が強い。
今回の計画案の中核となっているのは、政府が保険会社に支払う補助金を廃止し、その金額を国民個人に直接支給するという考え方だ。この支給金を健康貯蓄口座(HSA)に積み、消費者自身が医療サービスや保険を選択・購入する「消費者主義」を促進するという狙いがあるとされる。また、薬価交渉の強化や保険会社に対する価格透明性の義務付けなど、多数の項目が盛り込まれているという。
しかし、専門家の反応は冷ややかだ。独立系の医療政策研究機関KFFは、「提案されている多くの項目は既存のACAに似た内容であり、実際に新しい効果をもたらすとは言い難い」と指摘する。また、消費者主義についても「医療は他の財・サービスの購入とは異なり、必要性や費用が予測しにくい。健康貯蓄口座に送金するだけでは、個々人が最良の選択をすることは期待しにくい」との意見がある。
さらに、今回の計画がACA市場を不安定化させる可能性を危惧する声もある。KFFは、「政府から支給された金額に使用条件がなく、保険料補助のようにACA準拠の保険加入に使われなければ、健康な人々が低コストの非ACA保険に流れ、リスクプールが崩壊する恐れがある」と述べている。このような動きが進めば、持病のある人や低所得層など、従来保険に依存していた人々が選択肢を失う可能性もあるとの指摘だ。
議会への影響も不透明だ。ホワイトハウスはこの計画を早急に法制化したい意向を示しているが、共和党内でも賛成意見と慎重論が混在しており、詳細な法案の形成には時間を要する見込みだ。また、民主党側は既存のACA補助金延長などを求める動きを進めており、政治的な対立も予想される。
一方で、政権関係者は今回の改革案が米国の保険料高騰や医薬品価格の引き下げにつながるとの期待を示しているが、現時点では専門家の間で評価の一致は見られず、実際の影響は今後の議論と法整備の進展次第だと言える。
