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米サンフランシスコの病院で殺傷事件、医療従事者1人死亡、34歳男逮捕

事件は市内の病院で4日の午後1時39分ごろに発生。患者の男がナイフで複数回刺したという。
パトライト(Getty Images)

カリフォルニア州サンフランシスコの病院で勤務するソーシャルワーカーが患者に刺され死亡した。当局が8日、明らかにした。

それによると、事件は市内の病院で4日の午後1時39分ごろに発生。患者の男がナイフで複数回刺したという。 被害者は当初「31歳」と報じられていたが、のちに警察の発表で「51歳」の職員と訂正された。

容疑者はサンフランシスコ市在住の男(34歳)。当日は診察のため病院を訪れており、その直前に病院の医師に対して脅迫を行っていたとされる。保安官事務所はこの脅迫を受けて保安官を派遣していた。

事件発生時、保安官は廊下で声を聞いた後、直ちに容疑者を取り押さえた。被害者は首と肩を複数回刺され、心肺停止の状態でCPRを受けたが、2日後の12月6日、死亡が確認された。

容疑者は殺人未遂、致死性武器を用いた暴行、重傷を負わせる意図を伴う暴行などの容疑で起訴された。現在、刑事訴追手続きが進行中とされる。

この事件は病院の安全管理制度とスタッフ保護のあり方に対する批判と不安を再燃させている。被害者の所属する労働組合は声明を発表し、「勤務を終えて無事帰宅できるよう、一貫性があり透明な安全対策の実施を強く求める」と訴えた。また、同病院を運営するDPHは施設内の安全確保が最優先であるとし、警備員の増員、出入口の制限、武器検知システムの導入促進など、安全対策の強化を約束した。

一方で、関係者らは、そもそも容疑者の不穏な言動について、数週間前から複数回にわたり警告があがっていたと証言している。しかし、十分な対応は取られず、武器検査の実施もなかったという。昨年には同病院の保安担当を大幅に削減し、現在は「要請時のみ対応」の警備体制に移行していたことが指摘されている。

この悲劇を受け、医療現場における職員の安全確保と、患者の受け入れ体制・警備体制のあり方があらためて問われている。DPHは調査を約束し、関係機関は今後の改善策を検討するとしているが、医療従事者らにとって「職場で命を落とす可能性」の現実性が浮き彫りとなり、病院の安全管理全体に対する信頼回復には時間を要する見通しだ。

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