米議会上院、「イラン戦争権限決議案」反対多数で否決
この決議案はトランプ大統領が議会の承認なしに軍事行動を行う権限を制限し、今後の敵対行為については議会の承認を求めることを目的としていた。
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米連邦議会上院は4日、対イラン戦争権限決議案(Iran war powers resolution)をめぐる採決を行ったが、共和党の支持を得られず前進させることができなかった。この決議案はトランプ(Donald Trump)大統領が議会の承認なしに軍事行動を行う権限を制限し、今後の敵対行為については議会の承認を求めることを目的としていた。採決の結果、決議案は反対52ー賛成47で否決された。
決議案は民主党のケイン(Tim Kaine)上院議員(バージニア州選出)らが主導し、1973年の戦争権限法(War Powers Resolution)を根拠に、大統領が米軍を国外で武力行使させる場合には議会による承認が必要だと規定することを目指した。トランプ氏によるイランへの軍事行動、複数の標的に対する空爆や、イラン最高指導者の殺害を含む攻撃が憲法上の議会の権限を無視したものだという批判が強まっている。
しかし、多数派の共和党議員はこの決議案に強く反対した。共和党はトランプ氏の決定について、正当な国家安全保障上の措置であり、議会の拘束を課すべきではないと主張した。共和党の立場としては、議会の承認を必要とすることが米軍の即応性を損なう恐れがあるという見方が強い。また、共和党指導部は決議案が国防能力を弱体化させると懸念を示し、共和党内の結束が維持された形となった。
一方で、民主党は決議案が議会の憲法上の権限を回復し、行政府による一方的な軍事介入を抑制するために不可欠だと訴えた。ケイン氏は採決に先立ち、「この戦争は議会の承認を得ていない。われわれはどのような軍事行動を支持するのか、明確にする必要がある」と述べ、全議員に立場を公表するよう促した。だが、賛成に回る共和党員はおらず、与野党間の溝は埋まらなかった。
今回の採決は手続き上のもので、最終的な本採決に進むかどうかを判断するものであった。手続き段階で可決できなかったため、上院での審議継続は困難となった。決議案が可決された場合でも、下院の承認と大統領の署名が必要であり、トランプ氏は署名する意向を示しておらず、仮に成立したとしても拒否権が行使される可能性が高いとみられていた。さらに、大統領の拒否権を議会が覆すには上下両院で3分の2以上の賛成が必要であり、そのハードルも極めて高い。
この決議案の動きは、米国とイスラエルがイランに対して共同で実施した軍事作戦を背景にしており、議会内での戦争権限のあり方と行政府の権限との関係が焦点となったものだ。共和党の指導部や一部議員は現行法のもとで大統領が適切に対応しているとする一方、民主党や慎重論者は議会による承認なしの軍事行動が憲法上の問題をはらむと批判を続けている。
今回の決議案否決は米議会が戦争権限をめぐる権限配分について大統領との対立を抱える現実を浮き彫りにした。また、米国とイランの紛争が今後どのように推移していくかをめぐる政策判断の場として、議会がどの程度の影響力を持つかが議論を呼びそうだ。
