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米議会上院、トランプ政権の軍事行動を制限する戦争権限決議案を可決

決議案は今後さらに審議を経て可決の是非が問われるが、撤回や修正を含め大統領権限を制約する意図が明確になる動きだ。
米ワシントンDC連邦議会(Getty Images)

連邦議会上院は8日、ベネズエラに対するトランプ(Donald Trump)大統領の軍事行動を制限する戦争権限決議案を賛成多数で承認した。決議案は今後さらに審議を経て可決の是非が問われるが、撤回や修正を含め大統領権限を制約する意図が明確になる動きだ。今回の採決は52対47で可決となり、全ての民主党議員と一部共和党議員が賛成した。

この決議案は、米国がベネズエラ政府に対して今後新たな軍事行動を行う場合、議会の承認を義務付ける内容となっている。トランプ政権が先ごろ実施したマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領の拘束を伴う軍事作戦を受けて、議会内で「大統領の一方的な権限行使が行き過ぎている」との懸念が高まったことが背景にある。

賛成に回った共和党議員は5人で、議会の戦争権限に関する憲法上の役割を重視する立場から決議案を支持した。特にスーザン・コリンズ(Susan Margaret Collins)議員はマドゥロ拘束作戦のような単発の行動は支持するが、長期的な軍事関与については議会の承認が必要との考えを示した。

一方、トランプ氏とその支持者はこの決議案に強く反発している。トランプ氏は賛成した共和党議員を非難し、「国家安全保障を弱体化させる」と主張した。また、ホワイトハウスは決議案が提示されれば拒否権を行使する方針だと伝えられており、最終的な成立には高いハードルがある。議会が大統領の拒否権を覆すには上下両院で3分の2以上の賛成が必要であり、現在の構成では実現は容易ではない。

決議案は上院で可決となった段階で、正式な審議と採決を経て法案化するプロセスに入る。次は共和党が過半数を保持する下院での議論が待たれており、そこで否決される可能性も指摘されている。また、仮に下院を通過して大統領の署名を得られたとしても、内容が戦争権限法としてどこまで実効性を持つかは今後の運用次第だとの見方もある。

今回の動きは、議会が憲法で定められた戦争権限を巡り大統領権限を牽制しようとする稀な例である。背景には、米国民の間でも軍事介入への慎重姿勢が強まっているとの世論調査結果がある。ある調査ではベネズエラへの軍事介入に対する不支持が支持を上回り、共和党支持者内でも限定的な支持にとどまっているとの結果も示された。

国際的にも米国の今回の軍事行動は波紋を広げており、国連安全保障理事会で国際法違反との懸念が表明されるなど論争が続いている。こうした中、議会が戦争権限の再確認を図る動きは、大統領の外交安保政策に対する重要なチェック機構として注目されている。

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