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全米脚本家組合とハリウッド映画スタジオが新たな労働契約で合意


合意は脚本家を代表する「全米脚本家組合(WGA)西部支部」と、主要スタジオや配信会社を代表する「全米映画テレビ制作者同盟」との間で成立した。
2023年9月27日/米カリフォルニア州ロサンゼルスで行われた映画関係者のデモ(AP通信)

ハリウッドの脚本家組合と映画・テレビ制作会社側が新たな労働契約をめぐり、4年契約の暫定合意に達した。現地メディアが5日に報じた。対立が長期化した2023年の大規模ストライキから3年を経て、業界の安定に向けた転機となる可能性がある。

合意は脚本家を代表する「全米脚本家組合(WGA)西部支部」と、主要スタジオや配信会社を代表する「全米映画テレビ制作者同盟」との間で成立した。交渉は約3週間という比較的短期間でまとまり、交渉委員会が全会一致で合意案を承認した。制作会社側も声明で、業界の長期的安定に向けた前進になるとの期待を示している。

今回の契約は通常の3年ではなく4年となり、今後の労使関係の安定を重視した内容とみられる。ただし、正式発効には組合の理事会および組合員による承認が必要で、今後の採決が焦点となる。

具体的な契約内容は現時点で公表されていないが、医療保険制度の改善や人工知能(AI)に関する保護強化など、脚本家側が重視してきた課題が盛り込まれる見通しである。また、報酬が発生しない「無償労働」の問題への対応も含まれるとみられ、近年の制作現場で指摘されてきた不公平是正が図られる見通しだ。

今回の暫定合意は2023年の激しい労使対立と対照的である。当時は契約交渉が決裂し、脚本家によるストライキが発生、映画やテレビ制作が大幅に停滞するなど業界全体に深刻な影響を与えた。賃金や雇用期間、AI利用の規制などを巡る争いが長期化し、エンターテインメント産業に大きな損失をもたらした。

こうした経験を踏まえ、今回の交渉では比較的早期の妥結が図られたとみられる。スタジオ側にとっても制作の安定化は重要課題であり、対立の長期化を避ける意向が働いた可能性がある。

一方で、ハリウッドの労使問題は完全に解決したわけではない。俳優組合や監督組合の契約も同時期に期限を迎える予定で、今後の交渉の行方が注目されている。また、脚本家組合内部では職員によるストライキが続いており、不当労働行為を巡る対立が表面化している。この内部問題が今回の合意にどの程度影響するかは不透明である。

今回の暫定合意は労使双方が一定の妥協点を見いだした結果といえるが、AIの活用拡大や配信ビジネスの変化など、業界構造の変動は続いている。脚本家の権利保護と制作側の効率化のバランスをどう取るかは、今後も重要な課題となる見通しである。

最終的な契約承認とその内容次第では、ハリウッドの労使関係は新たな段階に入る可能性がある。今回の合意が混乱を経験した業界に持続的な安定をもたらすかどうかが問われている。

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