◎バンクマンフリード容疑者は疑惑を丸ごと否定している。
暗号通貨(仮想通貨)交換業大手FTXトレーディングの創業者であるバンクマンフリード(Sam Bankman-Fried)容疑者が21日、バハマの首都ナッソーから米国に送還された。
ロイター通信によると、容疑者と連邦捜査局(FBI)の関係者は専用機に乗り込み、バハマを飛び立ったという。
ニューヨーク南部地区(SDNY)の検察当局は先週、米国史上最大の金融詐欺を主導したとしてバンクマンフリード容疑者を起訴した。
ナッソーの裁判所は21日の審理で容疑者の身柄引き渡しを承認したようだ。
バンクマンフリード容疑者は疑惑を丸ごと否定している。ロイターによると、容疑者は22日の午前中にNYの法廷に出廷する可能性があるという。
容疑者の元同僚は容疑を認めている。
FTXは先月、暗号通貨取引所アラメダ・リサーチが買収計画から手を引くと発表した後、米裁判所に連邦破産法11条の適用を申請。バンクマンフリード容疑者はCEOを辞任し、顧客は資金を引き出せなくなった。
バンクマンフリード容疑者は顧客の資金数十億ドルを自身の投資会社であるアラメダ・リサーチを支えるために使用したと疑われている。同社もFTXと同じタイミングで破産を申請した。
SDNYによると、FTXの共同創業者であるワン(Gary Wang)被告とアラメダ・リサーチの元代表であるエリソン(Caroline Ellison)被告は、ともにFTXの詐欺行為で主導的な役割を果たしたとして起訴されたという。
またSDNYは、「ふたりは現在、我々と協力している」と報告した。司法取引が行われたかどうかは不明である。
ワン被告の弁護士は声明で、「ワン氏は自分の責任を受け入れ、協力的な証人としてその義務を果たそうとしている」と述べた。
SDNYによると、バンクマンフリード容疑者はFBIの管理下にあり、米国に戻る途中だという。また容疑者は空港から直接SDNY事務所に移送され、出廷する予定としている。
FTXは破産を申請し、多くの投資家が資金を引き出せない状態になっている。
裁判所に提出された書類によると、FTXは最大手の債権者50社に約31億ドルの債務を負っているという。
バンクマンフリード容疑者はアラメダ・リサーチを支えるために顧客の資金を使ったと疑われている。
SDNYは先週、米国史上最大の詐欺でバンクマンフリード容疑者を起訴すると発表。またSDNYは、容疑者は不正に得た資金の一部を民主党と共和党に献金し、自身の影響力を高めようとしていたと告発した。
証券取引委員会(SEC)は「暗号通貨の帝王と呼ばれた男は欺瞞の上にトランプの城を築いた」と非難している。
しかし、バンクマンフリード容疑者は主要メディアのインタビューで疑惑をすべて否定し、「故意に詐欺を働いたつもりはない」と反論していた。
容疑者は米国で電信搾取、マネーロンダリング、詐欺など少なくとも8つの刑事責任を問われている。また、FTXに投資した投資家を欺いたという民事責任も問われる。さらに、政治資金規正法違反でも告発されている。
容疑者は「アラメダ・リサーチ社は顧客の資金が不正に使用されていることを認識していた」という疑惑も否定している。
顧客はFTX取引所で資金をビットコインなどの暗号通貨に交換することができた。
暗号通貨は米ドルなどの通貨とは異なり、オンラインで管理・保管される。
FTXの登録ユーザー数は120万人と推定されている。その多くが自分の資金を取り戻せるか心配している。
取引所に資金を預けていた投資家の手元にいくら戻ってくるかは不明だが、多くの専門家がほんの一部、ゼロもあり得ると指摘している。
容疑者は米国の投資家ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)氏の後継者と呼ばれるようになり、10月下旬時点の純資産は150億ドル以上と推定されていた。
しかし、容疑者は先月末に放送された米ABCニュースのインタビューで「手元には10万ドルしか残っていない」と述べていた。
Statement of U.S. Attorney Damian Williams on U.S. v. Samuel Bankman-Fried, Caroline Ellison, and Gary Wang pic.twitter.com/u1y4cs3Koz
— US Attorney SDNY (@SDNYnews) December 22, 2022