◎バンクマンフリード容疑者はFTXの本社があるバハマで逮捕された。
仮想通貨交換業大手FTXトレーディングの創業者サム・バンクマンフリード氏(NBCニュース)

バハマの裁判所は13日、暗号通貨(仮想通貨)交換業大手FTXトレーディングの創業者であるバンクマンフリード(Sam Bankman-Fried)容疑者の保釈請求を却下した。

ニューヨーク南部地区(SDNY)の検察当局は同日、米国史上最大の金融詐欺を主導したとしてバンクマンフリード容疑者を起訴した。

米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー(Gary Gensler)委員長は容疑者について、「欺瞞の上にトランプの城を築いた」と説明している。

バハマの警察当局は「米国とバハマの法律に反するさまざまな金融犯罪」で容疑者を逮捕したと説明している。

しかし、容疑者は米国への身柄引き渡しに抵抗するとみられる。

バハマ裁判所の判事は「逃亡の恐れがある」として保釈請求を却下し、来年2月8日まで矯正施設に勾留するよう命じた。

バンクマンフリード容疑者はFTXの本社があるバハマで逮捕された。

FTXは先月28日、米裁判所に連邦破産法11条の適用を申請した。負債総額は最大100億ドルに達すると見込まれ、顧客は資金を引き出せなくなった。

容疑者とウォール街の元トレーダーらは2019年にFTXを設立。わずか3年で1日約100億ドルの暗号通貨を取引する巨大取引所となった。

しかし、FTXは先月、暗号通貨取引所アラメダ・リサーチが買収計画から手を引くと発表した後、破産を申請。バンクマンフリード容疑者はCEOを辞任した。

米裁判所に先月提出された書類によると、FTXは最大手の債権者50社に約31億ドルの債務を負っていたという。

バンクマンフリード容疑者は顧客の資金数十億ドルを自身の投資会社であるアラメダ・リサーチを支えるために使用したと疑われている。同社もFTXと同じタイミングで破産を申請した。

取引所に資金を預けている投資家の手元にいくら戻ってくるかは不明だが、多くの専門家がほんの一部、ゼロもあり得ると指摘している。

バンクマンフリード容疑者は米国で電信搾取、マネーロンダリング、詐欺など8つの刑事責任を問われている。また、FTXに投資した投資家を欺いたという民事責任も問われている。

さらに、選挙資金規正法違反でも告発されている。

SDNYの連邦検事は13日の記者会見で、「容疑者に対する詐欺の告発は米国史上最大級」と語った。

また検事は容疑者が金融機関、投資家、顧客を欺いたと非難。「不正に得た資金の一部を民主党と共和党に献金した」と述べた。

検事は会見で、「この汚いお金は超党派議員に好かれ、連邦議会の公共政策に影響をもたらしたいという容疑者の願望のために使われた」と説明した。

容疑者は主要メディアのインタビューで「顧客の資金を不適切に使用した」という告発を繰り返し否定している。

アラメダ・リサーチ社は容疑者が顧客の資金を不適正に使用していたことを認識していた可能性があると疑われている。

容疑者は米国の投資家ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)氏の後継者と呼ばれるようになり、10月下旬時点の純資産は150億ドル以上と推定されていた。

FTXの破産手続きを主導するレイ(John Ray)CEOは13日、議会の公聴会で、「FTXの破綻は極めて経験の浅い、洗練されていない個人および小集団が招いたように見える」と述べた。「記録管理ゼロ、内部統制ゼロ、危機感ゼロ...」

顧客はFTX取引所で現金をビットコインなどの暗号通貨に交換することができた。暗号通貨は米ドルなどの通貨とは異なり、オンラインで管理・保管される。

専門家はその匿名性の高さから、暗号通貨が麻薬取引やランサムウェア攻撃などの犯罪行為に利用されていると指摘。しかし、暗号通貨の支持者は技術革新と政府から独立した通貨を構築できる可能性があるとしている。

右肩上がりで成長していた暗号通貨業界もロシアのウクライナ侵攻がもたらした混乱には勝てず、ビットコインは今年、60%以上下落。他の暗号通貨も苦戦を強いられている。

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