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米国で「ロマンティック・コメディ」ブーム、映画とブロードウェイの注目作

今年は多様なロマコメ作品が支持を集め、ジャンル全体の再評価につながっている。
映画「People We Meet on Vacation」のワンシーン(AP通信)

2026年、ロマンティック・コメディが映画やテレビ、舞台など幅広いメディアで再び注目を集めている。古典的な物語が視聴者の心をつかんでおり、ストリーミング配信やブロードウェイの舞台でも新たなヒット作が相次いでいるという。

その代表例が新作ブロードウェイ・ミュージカル「Two Strangers(Carry a Cake Across New York)」である。この作品はクリスマスソングが好きな英国人男性とそれを嫌う米国人女性という、正反対の性格を持つ男女がニューヨークで運命的に出会う古典的な設定を描く。劇中では職に就く2人が互いに惹かれ合う様子をコミカルかつ温かく描いており、観客の支持を得ている。

テレビやストリーミング配信ではHBO Maxのアイスホッケー恋愛ドラマ「Heated Rivalry)」や、Netflixのシリーズ「Nobody Wants This」が人気を博している。「Heated Rivalry」は同性同士の恋愛を描いた作品で、一話平均で約1060万人の視聴者を記録した。また「Nobody Wants This」は、信仰の違いを越えた恋愛をテーマにした物語で、第2シーズンの初週だけで860万人以上が視聴したと報じられている。これらの作品は従来のロマコメの「型」を活かしながらも、現代的なテーマや多様なキャラクターを取り入れている点が特徴だ。さらにNetflix映画「People We Meet on Vacation」は公開初週末に1720万人を超える視聴を記録し、ストリーミング界で大ヒットとなっている。

このほか「My Oxford Year」や「Reminders of Him」といった新作、長年安定した人気を誇るシリーズ「Bridgerton」の第4シーズンなどもロマコメ需要をけん引している。そして、トニー賞受賞経験のある近未来ロマコメ「Maybe Happy Ending」もブロードウェイで高い評価を受けており、ジャンル全体の活気を象徴している。

心理学者のポール・イーストウィック(Paul Eastwick)氏はロマコメ人気の高まりについて「波がある」と述べている。同氏によると、視聴者が感情的なつながりや心温まる物語を求める時期に、ロマコメが再び脚光を浴びる傾向があるという。また、過去には1990年代の「ゴースト/ニューヨークの幻」のように大ヒットし、アカデミー賞でも評価された作品が存在したが、近年は批評面で軽視されがちだったとしている。とはいえ、今年のヒット作群はジャンルの多様性と深みを示しており、制作側も「恋愛映画には依然として価値がある」と評価している。

ミュージカル「Two Strangers」の共作者キット・ブカン(Kit Buchan)氏は、ロマコメが現代でも人々を惹きつける理由について「見知らぬ2人が困難を乗り越えて結ばれる物語は古くから愛されてきた」と説明する。また映画「People We Meet on Vacation」の監督は、視聴者が現実味のある恋愛を求めていると述べ、軽やかな笑いだけでなく感情の深さも重視して制作したという。

このように今年は多様なロマコメ作品が支持を集め、ジャンル全体の再評価につながっている。視聴者の求める「心温まる物語」が、厳しい現実が続く時代にこそ必要とされているのかもしれない。

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