◎上院民主党は共和党の穏健派との交渉を進めたが、投票結果は「賛成(民)50ー反対(共)50」となり、議事妨害(フィリバスター)の通過に必要な60票を確保することはできなかった。
2021年6月22日/ワシントンD.C.議会議事堂、記者団の取材に応じる民主党のラファエル・ワーノック上院議員(AP通信/Alex Brandon)

6月22日、アメリカの選挙と投票を改正する民主党の投票権法案は上院共和党の議事妨害をクリアできず、廃案になった。

ジョー・バイデン大統領は声明で、「戦いはまだ終わっていない」と述べたが、具体的な対処方法については言及しなかった。

「人々のために法案(For the People Act)」は、政治における金銭の影響を抑制し、現代の公民権闘争と見なされている共和党主導の州の差別的な投票ルールを打破すると期待されていた。

上院民主党は共和党の穏健派との交渉を進めたが、投票結果は「賛成(民)50ー反対(共)50」となり、議事妨害(フィリバスター)の通過に必要な60票を確保することはできなかった。

予算法案は議事妨害の影響を受けない特別なプロセスを使うことができるが、それ以外の法案は妨害を終わらせるための投票で賛成を60票確保しなければならない。

共和党が過半数を占める州は差別的な選挙法を推進しており、ジョージア州の新しい選挙法はMLBオールスターゲームの会場変更や企業のボイコット活動に発展した。一方、共和党のリーダー、ドナルド・トランプ前大統領は昨年の大統領選以来、「私の票は盗まれた」と証拠を提供することなく主張し続けている。

<ジョージア州の投票法の要点>
・郵送投票を要求するために新しいIDが必要になった。
・投票所で順番待ちしている有権者に飲料水や食べ物を提供できなくなった。
投票に関連する何かしらの問題が発生した場合、州議会に投票を管理する権限を与える
・不在者投票用のドロップボックスの数を制限する。
・すべての選挙の期日前投票期間を短縮する。

バイデン大統領に選挙制度改革の推進を命じられたカマラ・ハリス副大統領は、「民主主義を取り戻すために戦い続けると誓約する」と述べた。

この法案は全ての州に15日間の期日前投票を導入し、選挙日を祝日にし、運転免許書を持っているすべての米国民の自動投票者登録を保証し、共和党の差別的な州法を打破する予定だったが、廃案になった。

2021年6月22日/ワシントンD.C.議会議事堂、カマラ・ハリス副大統領(AP通信/J. Scott Applewhite)

投票前、民主党のチャック・シューマ―上院院内総務は演説で、「私たちは差別的な州議会の有権者抑圧を許すのですか?」と述べた。「私たちは歴史上最も不誠実な(トランプ)大統領による民主主義を内側から腐らせる行為を許すのだろうか?」

これに対し共和党は、「この法案は民主党に利益をもたらすように設計されており、合衆国憲法が保障している州の権利を抑圧する権力乱用にほかならない」と激しく反発した。

共和党のミッチ・マコーネル上院少数党首は法案を却下し、「民主党はアメリカの政治の基本ルールを自分たちの都合の良いように書き直そうとしている」と述べた。

一部のリベラルな民主党員は、バイデン大統領に「もっと頑張れ」と言った。

リベラルなNY州のジュマール・ボウマン下院議員はCNNニュースのインタビューの中で、「バイデン大統領はもっと声を出してほしい」と述べた。「もっと声を出してほしい、もっと前線に立ってほしい。バイデン大統領はもっとやれるはずです」

進歩的な民主党員は、「議事妨害の通過に必要な賛成票を60票から51票(50対50の場合は副大統領が決定票を投じる)にしろ!」と激しく主張したが、民主党はトランプ政権時代にこの試みを議事妨害で阻止しているため、実現することはないと信じられている。

バイデン大統領の主要政策は反共和党政策であり、議事妨害を通過できるかどうかは不明。

マサチューセッツ州選出の進歩的なアヤンナ・プレスリー下院議員は上院投票前に、「議事妨害を廃止し、国民が求める仕事をできるようにしよう」とツイートした。

2021年6月22日/ワシントンD.C.議会議事堂、共和党のミッチ・マコーネル上院少数党首(AP通信/J. Scott Applewhite)
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