◎ウラジーミル・プーチン大統領のサイバー攻撃部隊は昨年、米ソーラーウィンズ社(SolarWinds)のネットワーク監視ソフトウェア、オリオンをハッキングした。
報道によると、ジョー・バイデン大統領は連邦機関に対する大規模なハッキング攻撃を仕掛けたロシアに新たな制裁を科す予定だという。
ウラジーミル・プーチン大統領のサイバー攻撃部隊は昨年、米ソーラーウィンズ社(SolarWinds)のネットワーク監視ソフトウェア、オリオンをハッキングした。
その結果、少なくとも9つの米機関のネットワークに使用されていたオリオンがロシア産ウイルスに感染し、機密情報などが筒抜けになったと伝えられている。
また、米政府当局は先月、プーチン大統領はドナルド・トランプ前大統領の再選の失敗を助けるための作戦を承認したと主張した。ただし、当局はプーチン大統領の関与を裏付ける証拠を示していない。
匿名を条件にAP通信の取材に応じた政府当局者は、「バイデン大統領はロシアに対する新たな制裁の詳細を4月15日に発表する」と述べた。
制裁の詳細は明らかにされていないが、米ABCニュースによると、30以上の団体もしくは企業と、少なくとも10人の関係者に制裁が科され、ロシア駐米大使も対象に含まれる可能性があるという。
バイデン大統領は今週、ウクライナ東部国境付近におけるロシア軍の兵力増強とそれに伴う緊張の高まりを受け、プーチン大統領と2回目の電話会談を行った。バイデン大統領は「アメリカはロシアの侵入と選挙干渉に対し、国益を守るために行動する」と述べ、数カ月以内に第三国で首脳会談を開催したいと提案した。
しかし、ロシアは首脳会談を開催できるかどうかは「アメリカの行動にかかっている」とけん制し、サイバー攻撃と選挙干渉に対する新たな制裁を発動すれば、首脳会談の要請には応じられないと示唆した。
バイデン大統領は先月放送されたABCニュースのインタビューの中でプーチン大統領を「殺人者」と呼び、「前政権はロシアの独裁者に屈服したが、新政権は違う」と述べた。
元KGBで殺人者のプーチン大統領はバイデン大統領の発言を受け、アメリカの奴隷制、ネイティブアメリカンの虐殺、そして第二次世界大戦時の日本に対する2発の原爆投下を引き合いに出し、「アメリカはまず、自分の行いを省みるべきだ」と挑発した。
アメリカは制裁や措置でロシアのサイバー攻撃に終止符を打とうとしたが、ソーラーウィンズに対するハッキングを防ぐことはできず、一連の制裁がロシアの行動に変化をもたらしたかどうかは不明である。
オバマ政権は大統領選挙への干渉を受け、2016年にロシア駐米大使を追放した。そして、プーチン大統領に屈したとバイデン大統領に非難されたトランプ前大統領も、ロシアエージェントによるイギリスの元諜報員毒殺疑惑を受け、2018年に外交官を追放した。
米政府当局は財務省、司法省、エネルギー省、国土安全保障省などの主要機関に影響を与えたソーラーウィンズの侵入により、情報が盗まれた可能性を評価している。この攻撃でアメリカのサプライチェーンの脆弱性と、連邦政府のサイバー攻撃に対する防御力の低さが明らかになった。
バイデン大統領は先月、ロシアの野党指導者、アレクセイ・ナワルニー氏に対する神経ガス攻撃とその後の投獄に対し、7人の中堅および上級ロシア当局者と複数の政府機関に制裁を科している。