◎ペロシ氏はアジア歴訪の真っ最中で、1日にシンガポールの首脳らと会談。2日にマレーシアを訪問する。
米ホワイトハウスは1日、中国人民解放軍がペロシ(Nancy Pelosi)下院議長の訪台に合わせて軍事的な挑発行動を取る可能性があると警告した。
国家安全保障会議(NSC)のカービー(John Kirby)報道官は「台湾付近へのミサイル発射や戦闘機による威嚇飛行などが考えられる」と述べた。
米議会下院を率いるペロシ氏はアジア歴訪の真っ最中で、1日にシンガポールの首脳らと会談。2日にマレーシアを訪問する。
米国と台湾の一部メディアはペロシ氏がまもなく訪台すると報じているが、ホワイトハウスはこれを確認していない。
中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は先週、バイデン(Joe Biden)米大統領との電話会談でペロシ氏が訪台する可能性に触れ、「火遊び」を控えるよう警告していた。
米国で台湾を訪問した最も地位の高い政府高官は1997年のギングリッチ(Newt Gingrich)元下院議長(共和党)。ペロシ氏が訪問すれば、約25年ぶりの下院議長訪台となる。
中国外務省はペロシ氏が訪台すれば深刻な結果を招くと警告しているが、どのような行動を取るかは明らかにしていない。
米国は1979年に中国と外交関係を結ぶ一方、台湾とも「強固な非公式関係」を構築してきた。
ロイター通信は中国国連特使の話を引用し、「ペロシ氏の訪問は中国と米国の関係を損なう」と報じた。
米中の関係はすでにひどく損なわれているが、両首脳は台湾問題を含むインド太平洋地域の問題について、対話を維持することで一致している。
一方、共和党と民主党の超党派は台湾を強く支持し、バイデン氏に確固たる意思を示すよう求めている。
ペロシ氏は民主党を代表する反中国派であり、数十年にわたって中国指導部を声高に批判してきた。
ペロシ氏は中国の民主派勢力と会談し、天安門広場を訪れたこともある。
ペロシ氏は週末の声明でシンガポール、マレーシア、韓国、日本を訪問すると発表したが、台湾には言及していない。
ペロシ氏は4月に訪台する予定だったものの、コロナに感染したため延期したとしている。
今月初め、ペロシ氏は「台湾への支持を明確に示すことが重要だ」と述べた。
一方、バイデン氏はペロシ氏の訪台について、「良い考えではない」としている。
カービー氏は1日の会見で中国の軍事的挑発について、「台湾海峡は国際水路ではないと主張するなど、今後数日以内に偽りの法的主張をすることもあり得る」と警告した。
またカービー氏は人民解放軍の戦闘機がペロシ氏の専用機と一緒に台湾領内に入る可能性もあるとした。
カービー氏はギングリッチ元下院議長が1997年に訪台してことを例に挙げ、「米議員の訪台は珍しいことではない」と指摘した。
「何も変わっていません。ドラマのような展開もありません。下院議長が台湾に行くのは初めてではありません」
カービー氏によると、ペロシ氏率いる代表団は米軍機で移動しているという。
ブリンケン(Antony Blinken)国務長官は1日、NPT再検討会議の後、記者団に対し、「ホワイトハウスの政策に変わりはなく、中国が何かしらの行動を起こせば、それはすべて中国の責任となる」と警告した。