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米ノースカロライナ州小型機墜落、当時の状況が明らかに、乗員7人全員死亡

事故はステーツビル地域空港で18日の午前10時20分ごろに発生。搭乗していた7人全員が死亡した。犠牲者には元NASCARドライバーのグレッグ・ビッフル(55歳)氏)とその家族が含まれている。
2025年12月18日/米ノースカロライナ州ステーツビル地域空港、小型飛行機が墜落した現場(ABCニュース)

ノースカロライナ州で12月18日に発生した小型ビジネスジェット機の墜落事故について、乗客が墜落直前に親族に「emergency landing(緊急着陸)」とテキストメッセージを送信していたことが明らかになった。

事故はステーツビル地域空港で18日の午前10時20分ごろに発生。搭乗していた7人全員が死亡した。犠牲者には元NASCARドライバーのグレッグ・ビッフル(Greg Biffle、55歳)氏)とその家族が含まれている。
国家運輸安全委員会(NTSB)は20日、記者会見で機内の乗客が地上の家族に一言だけ「emergency landing」と送信したことを確認したと明らかにした。誰がこのメッセージを送ったか、具体的な状況は現時点で明らかにされておらず、他に無線や通信機器による連絡は確認されていないという。NTSBは事故調査チーム16人を現地に派遣し、墜落原因の特定に向け調査を進めている。

墜落機はセスナ・サイテーションC550型の小型ビジネスジェットで、離陸後約10分間の飛行の後に空港へ戻ろうとしていたとされる。調査官によると、機体は滑走路に向けて着陸態勢に入っていたという目撃情報もあるが、墜落・炎上した。墜落地点は滑走路付近の開けた地帯で、機体は炎に包まれ、破片が広範囲に散乱していたと報告されている。

ビッフル氏と共に搭乗していたのは妻と14歳の娘、5歳の息子、ビッフル氏の友人など。関係者は声明で、犠牲者全員の死を悼むと表明、特にビッフル氏の家族について「計り知れない悲しみ」と表現した。

ビッフル氏はNASCAR界で活躍したベテランレーサーであり、数々のレースで優勝を重ねた実績を持つ。引退後もチャリティ活動や地域イベントへの貢献を続け、広いファン層から支持を集めていた。事故を受け、モータースポーツ関係者やファンからは哀悼の声が相次いでいる。

NTSBは事故原因を究明するため、機体の残骸や回収されたコックピットボイスレコーダー(CVR)の解析を進めている。現在のところ原因の特定には至っておらず、飛行データ記録装置(FDR)は搭載義務がなかったため、CVRの分析が重要な手がかりとなる見込みだ。NTSBは今後30日以内をめどに予備報告を公表し、最終報告書は12〜24カ月後に発表される見込みだとしている。

墜落現場周辺では当局者による作業が続けられ、地元当局は現場の安全確保とともに地域住民への情報提供を進めている。航空専門家は離陸直後に引き返すという動きが示す何らかの機械的トラブルの可能性や、悪天候の影響も含めた多角的な分析が必要だとしている。

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