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五輪フィギュアスケーターが週末アスリートに健康の秘訣を伝授

この助言はオリンピックという頂点で戦うアスリートの知見を一般にも応用する試みで、競技の種類を問わず週末スポーツ愛好者にも有益な指針となる。
2026年2月19日/イタリア、ミラノ冬季五輪、フィギュアスケート 女子で金メダルを獲得した米国のアリサ・リュウ選手(AP通信)

ミラノ・コルティナ冬季五輪に出場しているオリンピック級フィギュアスケーターらが、週末にスポーツを楽しむ一般のアスリートに向けて健康維持や怪我予防の助言を発信している。「氷は硬く、最終的にそれが勝つ」という言葉に象徴されるように、優雅に見える演技の背景には深刻な身体的・精神的負担があることを強調している。

フィギュアスケート連盟のグレッチェン・モーゲンソン(Gretchen Morgenson)博士はミラノで「どの選手も完全に健康というわけではなく、壊れかけている部分をどう管理するかが重要だ」と述べた。ウィンタースポーツの中でもフィギュアスケートはジャンプやスピン、リフトといった複雑な技を高頻度に繰り返すため、急性・慢性の怪我が避けられないという。

モーゲンソン氏は一般のアスリートに向け、いくつかの注意点を示した。まず、急性の怪我は放置せずすぐに対処することを強調し、「古い“痛みを我慢しろ”という考え方は捨てるべきだ」と述べた。また、慢性疾患については完全な休養が取れない状況でも、「可能な限り安全に競技を続ける方法を見つける」ことが鍵だとしている。例えば、靴の内部にパッドを加えるなど些細な工夫が負担軽減に繋がるケースもあるという。

さらにモーゲンソン氏はストレッチやウォームアップの重要性、トレーニングの強度や量に変化をつけることの必要性も指摘した。柔軟性が失われると身体が別の部位で無理を補おうとし、その結果として新たな怪我を引き起こす可能性があるためだ。

米国チームのチーム医師で25年の経験を持つフレッド・ワークマン(Fred Workman)医師は、「氷は硬く、転倒すればどこかが傷つく」と述べ、現代のフィギュアスケートが以前より要求する技術水準の高さとその代償を説明した。近年は従来型の関節や靭帯の怪我に加え、脳震盪の件数も増加しているという。これはジャンプの高さや回転数、ペアでのリフトなどリスクの高い動作が増えていることに起因するという。

ワークマン氏は診断・治療だけでなく、若い選手たちへの包括的な指導も行っている。その中にはストレスや精神的負担への対処法も含まれ、単なる身体のケアに留まらず、競技を通じた人生設計の視点まで含まれている。五輪の舞台では、審判評価のプレッシャーや期待といった精神面の挑戦も大きく、これに対応するメンタルタフネスが求められるとした。

実際、イリア・マリニン(Ilia Malinin)選手は五輪での連続転倒について「コントロールが効かなかった」と語っており、フィギュアスケートの精神的負担の大きさを否定できない。こうした状況を踏まえ、専門家らはトレーニングのバランス確保や身体以外の活動にも目を向けることが長期的な健康と競技生活の充実につながると助言している。

この助言はオリンピックという頂点で戦うアスリートの知見を一般にも応用する試みで、競技の種類を問わず週末スポーツ愛好者にも有益な指針となる。怪我の予防と適切なケア、そしてスポーツを楽しみながら健康を保つための基本的な姿勢が改めて示された格好だ。

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