◎大統領警護隊らで構成される反乱軍は今年7月、ニアメの大統領府を占拠し、バズム大統領とその家族を拘束した。
米国務省は13日、西アフリカ・ニジェールの軍事政権との関係を改善する用意があると表明した。
同省のアフリカ担当であるフィー(Mary Catherine Phee)国務次官補は首都ニアメで軍政の高官らと会談。米国はニジェールとの協力関係を再開する用意があると記者団に語った。
またフィー氏は「指導部が短期間で政権移行を約束することが条件である」と強調した。
大統領警護隊らで構成される反乱軍は今年7月、ニアメの大統領府を占拠し、バズム(Mohamed Bazoum)大統領とその家族を拘束。その後、チアニ(Abdourahmane Tchiani)将軍が国家元首に就任した。
米国はバズム氏の即時解放と民政復帰を求めてニジェールとの協力関係を中断。経済支援を停止した。
地元メディアによると、フィー氏はニアメの大統領府で軍政の高官数人と会談したという。
フィー氏は記者団に対し、「指導部は民主的に選出された政府の樹立と、迅速かつ信頼できる政権移行を約束しなければならない」と強調した。
またフィー氏は「指導部がそれを約束すれば、米国は協力関係を再開する用意がある」と述べた。
しかし、軍政は民政への移行期間を最長3年に設定。選挙を実施するか否かは「国民対話」で決めると主張している。
フィー氏はバズム氏とその家族の安否について、「満足のいく内容で合意できた」と述べたが、詳細は明らかにしなかった。
バズム一家は大統領府に軟禁されているものとみられる。他の政府高官も逮捕されたり、国外に逃亡したりした。
フィー氏はナイジェリアの首都アブジャで先週開催されたECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)首脳会議にも出席。ニジェールへの経済制裁を緩和・解除できるかどうかは軍政次第であると述べた。
ECOWASはニジェールを除名処分とし、加盟国との国境封鎖、金融取引停止、資産凍結などの制裁を科している。
フィー氏は「軍政がECOWASの申し出に前向きに応じることを期待する」と述べ、軍政に決断を促した。
ニジェールで活動する20以上のNGOによると、今年10~12月にかけて、市民200万人以上が自力で食料を確保できず、NGOの支援に頼って生活し、人口の約15%が支援を得られないとして国外避難民になったという。
ECOWASによるニジェール国境の封鎖と金融取引停止は同国の脆弱な経済に大打撃を与えている。